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個人ブログ & 執筆プラットフォーム 2026 — Hashnode / Medium / Bear Blog / Posthaven / Vercel + Astro / Tistory / velog / はてなブログ / note.com 徹底比較

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プロローグ — ブログはもう一度分化した

2010年代半ば、人々はこう言った。「ブログは死んだ。Twitter・Facebook・YouTube が全部持っていった」。2026年の現実はそうではない。

  • Substack はニュースレターを装ったブログとして、2024年に有料購読者400万人を突破した。
  • Hashnode は開発者ブログの標準になり、会社ドメインで書きつつコミュニティフィードにも露出されるモデルを固めた。
  • Medium は2024年に新規読者向けの有料壁を事実上撤廃し、再び「文章が自由に届くプラットフォーム」へと方向転換した。
  • Bear Blog・Mataroa・Write.as はミニマルブログの新標準になった。
  • Vercel + Next.js / Astro starter は、開発者が自分のドメインで自分のブログを動かす最も一般的なスタックになった。

そして消えたものもある。Cohost は2024年9月に運営を終了し、Read.cv は2024年に Perplexity に買収されたのち2025年初めにサービスを畳んだ。Pinboard は2025年9月に売却された。ブログプラットフォームの寿命は運営会社の寿命と一致する — 本稿が最初に置く命題はこれだ。

本稿は2026年5月時点の個人ブログ・執筆プラットフォームの地形全体を見る。マネージド・開発者・自前ホスティング・マイクロの4分類に分け、各プラットフォームの強み・弱み・所有構造・トレードオフを整理し、最後に誰がどれを選ぶべきかをシナリオ別に答える。


1章 · 2026年のブログ地図 — マネージド / 開発者 / 自前ホスティング / マイクロの4分類

ブログプラットフォームは2026年時点で大きく4つの陣営に分かれる。

┌──────────────────────────────────────────────────────────────────┐
│         2026年 個人ブログ / 執筆プラットフォーム 4分類            │
│                                                                  │
│  マネージド (執筆に集中)      開発者向け (コード / SEO)          │
│  Medium                        Hashnode                          │
│  Substack (ニュースレター)     dev.to (Forem)                    │
│  WordPress.com                 GitHub Pages + Jekyll             │
│  Tumblr (Automattic)           velog (KR)                        │
│  note.com (JP)                 Mintlify / GitBook (ドキュメント) │
│  Tistory / Brunch (KR)                                           │
│                                                                  │
│  自前ホスティング (サーバ管理) マイクロ / ミニマル               │
│  WordPress.org                  Bear Blog (bearblog.dev)         │
│  Ghost.org self-host            Mataroa (pay-what-you-want)      │
│  Hugo / Eleventy                Write.as                         │
│  Astro / Next.js + Vercel       Telegraph (Telegram)             │
│  Jekyll on GH Pages             Posthaven (月5ドル永続)          │
│                                                                  │
│  消えた / 衰退                  Web3 / フェディバース             │
│  Cohost (2024.9 終了)           Mirror.xyz (衰退)                 │
│  Read.cv (2025初 終了)          Plume (フェディバース)            │
│  Pinboard (2025.9 売却)         Mastodon 長文                     │
│                                                                  │
└──────────────────────────────────────────────────────────────────┘

各陣営の特徴を一行で要約するとこうなる。

  • マネージド: ドメイン・サーバ・デザインをプラットフォームが処理。書くことに集中。トラフィックはプラットフォームが持つ。
  • 開発者向け: コードブロック・シリーズ・技術 SEO に強い。Hashnode は独自ドメインも無料でマッピング。
  • 自前ホスティング: ドメイン・サーバ・バックアップ・テーマを自分で管理。最も自由だが最も手間がかかる。
  • マイクロ: 1ページ、ミニマル、執筆そのものがデザインという思想。

選択マトリクス

カテゴリ代表独自ドメインコードブロック有料壁モバイルアプリ
マネージドMedium / WP.com有料普通Medium 一部 / Substackあり
開発者向けHashnode / velog無料強い--Hashnode あり
自前ホスティングWP.org / Ghost自分で設定強いGhost 強い自前ビルド
マイクロBear Blog ほか一部有料普通----

2章 · Hashnode — 開発者ブログの事実上の標準

Hashnode は2015年にインドのバンガロールで始まった開発者向けブログプラットフォームだ。2026年時点、独自ドメインを無料でマッピングできるという一つの方針で、開発者ブログ市場の事実上の標準を勝ち取った。

Hashnode の強み

  • 独自ドメイン無料マッピング。blog.your-domain.com や your-domain.com そのものを無料で接続できる。SSL は自動。
  • マークダウン優先のエディタ。約100のシンタックスハイライト言語に対応。ライブプレビューあり。
  • シリーズ / チャレンジ / ノート。関連する記事をシリーズにまとめて表示。短い記事はノートとして独立。
  • GitHub バックアップ連携。すべての記事を自分の GitHub リポに自動ミラー。プラットフォーム依存を下げる。
  • AI 執筆アシスタント。2024年に導入された Co-Pilot がトーン・構成・SEO を支援。
  • カスタムページ・ニュースレター・購読者分析。すべて無料プランで利用可能。

Hashnode のトレードオフ

  • テーマの自由度は低い。色・フォント・ヘッダーの変更程度で、完全カスタムデザインは不可。
  • 2024年に Pro プランが終了。すべての機能が無料化された一方、一部記事に広告が表示される実験があった(2025年以降撤回)。
  • エクスポートはマークダウンのみ。画像や一部メタデータは失われる可能性。
  • コンテンツポリシーが厳しくなり、非技術系の記事は拒否される場合がある。

Hashnode を使うのに向く人

独自ドメインを使いたいがサーバ管理はしたくないエンジニア。シリーズでまとまる技術記事をよく書く著者。社内エンジニアブログを始めたいがインフラチームの助けを期待できない小さなスタートアップ。


3章 · Medium — 2024年の無料化ピボット

Medium は2012年に Twitter 共同創業者の Ev Williams が立ち上げた執筆プラットフォームだ。2017年に月5ドルのメンバーシップを導入して有料壁モデルで成長したが、2024年にそのモデルをほぼ反転させた。

2024年のピボット

2024年、Medium は新規読者向けの有料壁を事実上撤廃した。会員でない読者もほとんどの記事を無料で読めるようになり、「メダルシステム」と Partner Program が著者収益の中心に移った。同年、Medium は AI 生成記事ポリシーを強化し、純粋に AI で生成された記事の露出を抑えた。

Medium の強み

  • エディタのシンプルさ。マークダウンより WYSIWYG だが、書くことに集中するためのエディタとしては最も洗練されたもの。
  • レコメンドアルゴリズム。良い記事がフォロワー数を超えて届く、数少ないマネージド型プラットフォーム。
  • Partner Program。読者の読書時間に応じた収益。2026年時点で著者の平均月収はおよそ10〜100ドル程度。
  • Publication。同じテーマの記事を集めた雑誌的グループ。The Startup や Better Programming などの巨大 Publication が存在。

Medium のトレードオフ

  • 独自ドメインマッピングはなくなった。2018年頃から段階的に廃止され、2026年現在は新規受付なし。
  • 記事の所有権は著者だが、移行が大変。Medium-to-WordPress や Medium-to-Hashnode のツールはあるが、画像や埋め込みは失われやすい。
  • 有料会員専用記事は検索エンジンに乗りにくい。SEO の弱点。
  • アルゴリズム変更が頻繁。2024年のピボットで著者収益が大きく変動し、一部の著者は Substack へ移った。

Medium を使うのに向く人

ドメイン・SEO・技術詳細を気にしたくない書き手。アルゴリズム経由のリーチがより重要な非技術系の書き手。短いエッセイ・思考・旅行記など、検索より推薦トラフィックが効くカテゴリ。


4章 · Substack — ニュースレターを装ったブログ

Substack は2017年にサンフランシスコで始まったニュースレタープラットフォームだ。詳細な深堀りは別記事で扱ったので、ここでは「ブログプラットフォームとしての Substack」だけ短く触れる。

Substack のブログ面

  • すべてのニュースレターは自動で Web ページを持つ。URL は your-newsletter.substack.com または独自ドメインマッピング(年50ドル)。
  • 公開した記事はメールと Web に同時公開され、コメント・いいね・Notes(Substack の短い SNS 投稿機能)もある。
  • 無料発行は手数料なし。有料購読を受ける場合は決済額の10%と Stripe 手数料を Substack が取る。

ブログとして使うときのトレードオフ

  • SEO は強いが、ページデザインの自由度はほぼなし。色とヘッダー画像程度しか変えられない。
  • ニュースレター中心なので「1記事 = 1通のメール」というリズムになる。短い文章・雑談・速いシリーズには向かない。
  • 2023〜2024年のコンテンツポリシー論争のあと、一部の書き手が Beehiiv や Ghost に移った。

Substack を使うのに向く人

メール購読者リストを資産として育てたい書き手。早期に有料購読を始めたいカテゴリ(投資・経済・政治分析など)。


5章 · Mirror.xyz — Web3、衰退

Mirror.xyz は2020年に Web3 ネイティブの執筆プラットフォームとして登場した。Ethereum ウォレットでログインし、記事を NFT として発行し、トークンベースのマネタイズモデルを提示した。

衰退

2022〜2023年の暗号資産・NFT 市場の冷え込みのあと、Mirror のアクティブユーザーは大きく減った。2026年時点でもサービスは稼働しているが、新規記事の量は大きく落ち、かつての Mirror 書き手の多くは Substack・Hashnode・自前ホスティングへ移った。

残る位置

  • 暗号資産・ブロックチェーンそのものを扱うアナリストの記事はいまも Mirror に出る。
  • DAO やオンチェーンガバナンスのテーマは、Mirror の Web3 ネイティブ機能(トークンゲーティング・NFT 発行)が意味を持つ。
  • ただし「汎用ブログプラットフォーム」としての地位は事実上失った。

6章 · Posthaven — Maciej Cegłowski の一行の約束

Posthaven は2014年に Maciej Cegłowski(Pinboard の創業者)と Garry Tan(現 Y Combinator CEO)が立ち上げたブログプラットフォームだ。プロダクトの売り文句は最初から一行だった。

「月5ドル払えば、あなたのブログを永遠に維持する」

約束の構造

  • 価格は月5ドル一択。永続。
  • 会社が売却されても、買い手は「既存サイトを維持する」条件を受け入れなければならない。
  • もし約束を守れなくなったら、会社は最後の1年の収益を使って静的 HTML バックアップを作り、ユーザーに送って終了する。
  • 広告なし、トラッカーなし、追跡なし。

Posthaven のトレードオフ

  • エディタは2010年代半ばのレベル。マークダウンよりは軽いリッチテキスト。コードブロック対応は弱い。
  • デザインの自由度は低い。色とヘッダー画像くらい。
  • ユーザーが少ないので、コミュニティ・発見・アルゴリズム由来のトラフィックは期待できない。
  • 「10年後も生きているブログ」という一つの価値命題ですべてを正当化するプラットフォーム。

Posthaven を使うのに向く人

ブログが自分自身のための日記やアーカイブに近い人。トラフィックや収益より「この記事が10年後も同じ URL で生きていてほしい」を優先する人。Maciej Cegłowski や Pinboard のファンなら自然な選択肢。


7章 · Pinboard — 2025年9月に売却

Pinboard は2009年に Maciej Cegłowski が始めたブックマークサービスだ。Delicious が Yahoo 配下で劣化していた時期に、「広告なし、追跡なし、永遠に動く」ブックマークの代替として登場し、2010年代をずっと一人運営で生き延びてカルト的支持を集めた。

2025年9月の売却

2025年9月、Pinboard は新しい運営者へ売却された。売却後の運営方針はおおむね従来通りだが、「Maciej の一人サイト」というアイデンティティは消えた。売却価格は非公表。

現在の Pinboard

  • 既存ユーザーのデータはそのまま維持。
  • 新規登録は単発で25ドル。アーカイブ機能(ページ本文保存)は年25ドル追加。
  • API はそのまま動作。Buku・Linkding・Raindrop など他のブックマークツールへの移行も可能。

ブログプラットフォームの観点での意味

Pinboard は厳密にはブログプラットフォームではないが、「一人運営者が約束したサイトの寿命」が結局は会社の売却で終わる例として記録された。Posthaven の「永続」約束が同じ運営者の会社である以上、本件は同じモデルの限界を示すデータポイントになった。


8章 · WordPress.com 対 WordPress.org

WordPress は2003年にオープンソースで始まった世界最大のブログ / CMS プラットフォームだ。2つの形態がある。

  • WordPress.org: オープンソースソフトウェア。自前ホスティング。プラグイン・テーマの拡張は無限。
  • WordPress.com: Automattic が運営するマネージドホスティング。料金プランごとに機能が段階的に開く。

2024〜2025年の Automattic 対 WP Engine 対立

2024年9月、Automattic CEO の Matt Mullenweg が WP Engine(米国の大手マネージド WordPress ホスティング)を公に非難して対立が始まった。Automattic は WP Engine の WordPress.org リソースへのアクセスを制限し、WP Engine は法廷闘争で応じた。この騒動で「WordPress のエコシステムが1人・1社に依存しすぎている」という批判が強まり、ClassicPress や AspirePress といったフォークプロジェクトが再び活気づいた。

WordPress.com の強み

  • マネージドホスティング・バックアップ・CDN・セキュリティが自動。
  • Personal プランは年48ドルから。Business プランからはプラグイン / テーマの自由インストール可能。
  • Jetpack・Akismet・WooCommerce などの Automattic 製ツールとの統合。

WordPress.org の強み

  • すべてのコードが GPL。どこでもホスティング可能。
  • 5万以上のプラグイン、1万以上のテーマ。
  • 有料壁(MemberPress・Paid Memberships Pro)・会員サイト・EC など、事実上あらゆるパターンを実装可能。

WordPress のトレードオフ

  • 自前ホスティング時はセキュリティ・更新・バックアップが自分の責任。脆弱性が頻繁に発見されるという評判もある。
  • 2024年の対立後、一部ユーザーが Ghost・Astro・Eleventy へ移った。
  • 「Gutenberg ブロックエディタ」の学習コスト。従来の Classic Editor 利用者との衝突も依然続く。

9章 · Ghost.org — オープンソース + ホスティッド

Ghost は2013年に英国で始まったオープンソースのブログ・ニュースレタープラットフォームだ。WordPress より軽量な Node.js のコードと、すっきりしたエディタが強み。

Ghost の2形態

  • Ghost(Pro): 公式マネージドホスティング。月9ドルから。ドメインマッピング・自動バックアップ・CDN を含む。
  • Self-hosted Ghost: GitHub のオープンソースを自分のサーバに載せる。Hetzner / DigitalOcean などの月5ドル前後の VPS で十分。

Ghost の強み

  • ニュースレター + ブログ統合。Substack 類似のモデルだが、独自ドメインで自分のデータ。
  • 有料メンバーシップ / 有料壁が標準搭載。Stripe 連携で無料・有料購読を管理。
  • Lexical エディタ(2024年導入)。Notion 風のスラッシュコマンドとブロック。
  • ActivityPub 連携(2024〜2025)。公開した記事を Mastodon・Threads・フェディバースに自動配信。

Ghost のトレードオフ

  • プラグインのエコシステムは WordPress ほど豊かではない。コア機能はコアに留め、拡張は Webhook や Integrations などの外部接続で行う。
  • テーマの自由度はあるが、本格的にカスタムするには Handlebars テンプレートの知識が必要。
  • 自前ホスティング時は Node.js 運用経験が必要。Docker イメージは提供されるが運用負担は残る。

Ghost を使うのに向く人

ニュースレターとブログを同じドメインで運営したい書き手。有料購読を真面目に運用する予定のカテゴリ。WordPress より軽量なコードを好む開発者。


10章 · Bear Blog — ミニマルの標準

Bear Blog(bearblog.dev)は2020年に南アフリカの開発者 Herman Martinus が作ったミニマルブログプラットフォームだ。1ページのマークダウン、白背景に黒文字、JavaScript なし — この3行に要約される。

Bear Blog の強み

  • 速度が圧倒的。HTML ページは平均3 KB 前後。Lighthouse スコア100。
  • 無料プランでも独自ドメインマッピング可能。年49ドルの有料プランでマルチブログ・有料機能が解放。
  • エディタはマークダウン1ページ。プレビュー・自動保存・ハッシュタグ。
  • Discover フィード。Bear Blog 内の記事がいいね数で並ぶ。発見トラフィックが意外に強い。
  • 広告・トラッカーなし。JavaScript もデフォルトでゼロ。

Bear Blog のトレードオフ

  • デザインの自由度はほぼゼロ。CSS を一度だけ追加できるが、それ以上は推奨されない。
  • メンバーシップ・有料壁などの収益化はサポートされない。
  • 画像ホスティングは外部(Imgur など)に依存。有料プランでのみネイティブの画像アップロードが利用可能。

Bear Blog を使うのに向く人

「自分の記事が速く読み込まれて、10年後にも動いてほしい」という人。デザインより文章そのものを大切にする書き手。独自ドメインは使いたいがサーバ管理は絶対にしたくない人。


11章 · Mataroa / Write.as / Plume / Telegraph / Tumblr — その他のマイクロ / マネージド

それぞれの色を持つ5つの小さなプラットフォーム。

Mataroa

  • 2020年にギリシャの開発者が始めたオープンソースのミニマルブログ。
  • 料金は「払いたいだけ払う(pay-what-you-want)」モデル。年35ユーロの寄付が推奨。
  • 1ページマークダウンエディタ・RSS・メール購読・独自ドメインマッピング対応。
  • コードは GitHub に公開。自前ホスティングも可能。

Write.as

  • 2018年に米国で始まったミニマル執筆プラットフォーム。Snap.as(画像)・Remark.as(読書)などの姉妹サービスあり。
  • 匿名公開がコア。記事に著者情報を露出しなくてもよい。
  • ActivityPub 連携。投稿が Mastodon に自動公開可能。
  • 有料プランは年60ドル。

Plume

  • 2018年に始まったオープンソースのフェディバースネイティブブログ。Rust 製。
  • 一時活発だったが、2022〜2023年にメイン開発者が離れて事実上メンテモードに。
  • 2026年時点でフェディバースブログを考えるなら、WriteFreely(Write.as のオープンソースコア)や Ghost ActivityPub のほうが活発な代替肢。

Telegraph

  • Telegram が運営する匿名公開プラットフォーム。サインアップなしで投稿可能。
  • URL は telegra.ph ドメインのパス配下。独自ドメインは不可。
  • 記事に著者情報がほぼなく、使い捨ての文書を素早く作るのに使われる。
  • Telegram メッセンジャーとの統合が強み。Instant View でチャット内プレビュー。

Tumblr

  • 2007年に David Karp が始めたマイクロブログ。2013年に Yahoo が11億ドルで買収、2017年に Verizon 配下の Oath へ、2019年に Automattic が約300万ドルで買収。
  • 2018年の成人コンテンツ禁止でユーザー数は大きく減ったが、2020年代半ばにふたたびカルト的な活気を取り戻している。
  • Automattic 運営下で「Tumblr を WordPress のデータベース上に作り直す」マイグレーションが2024年に発表(現在も進行中)。
  • 短いテキスト・画像・GIF が混ざるフィード型ブログを求めるなら、いまもほぼ唯一に近い選択。

12章 · Notion as blog — Super.so / Potion / Feather

Notion は本来ブログプラットフォームではないが、ページを公開する機能があるため「Notion をブログとして使う」パターンが定着した。これを支える3大ツールがある。

Super.so

  • 2020年スタート。Notion ページを独自ドメインにマッピングし、SEO・テーマ・キャッシュを処理する。
  • 料金は月12ドルから。独自ドメインマッピング、カスタムフォント・色・コード注入が可能。
  • 2026年時点で Notion as blog 市場の1位。

Potion

  • 2021年スタート。Super.so の直接の競合。料金は月10ドルから。
  • Notion ページを高速な静的 HTML に変換し、SEO メタデータと OG 画像を自動生成。

Feather

  • Notion のデータベースをブログ記事一覧にマッピングするのに特化。独自ドメインマッピング・分析機能あり。

Notion as blog のトレードオフ

  • 執筆体験は Notion そのまま。コラボ・同期・チェックリストなどの強みがそのまま入る。
  • ページの読み込み速度は静的サイトより遅い。Super.so や Potion がキャッシュと CDN で補うが差はある。
  • Notion API の制約(画像 URL の期限付きなど)を回避する責任はツール側にある。
  • 月10ドル前後のコストを「Notion でそのまま書きたい」という理由で正当化できるか次第。

13章 · Vercel + Next.js / Astro starter — 開発者の自前ホスティング

2020年代半ば以降、開発者の間で最も急増しているパターンが「Next.js / Astro を GitHub に置いて Vercel・Netlify・Cloudflare Pages にデプロイ」する形だ。

Next.js + Vercel

  • React ベースのフルスタックフレームワーク。App Router(2023〜2024年に安定化)で RSC・ストリーミングなど最新機能を利用可能。
  • contentlayer(本サイトが使用)・MDX ルート・Notion API 連携など、多様なデータソースに対応。
  • Vercel 無料プランでも独自ドメイン・自動 HTTPS・グローバル CDN を利用可能。
  • 代表的スターター: vercel/next.js examples の with-contentlayer、tailwind-nextjs-starter-blog(GitHub で最も星が多い Next.js ブログスターター)。

Astro starter blog

  • 2021年に始まったコンテンツファーストのメタフレームワーク。「基本は HTML、インタラクティブ部分のみ JS アイランド」という Islands アーキテクチャ。
  • astro.new や astro-paper、astro-nano、astrowind などのスターターで素早く始められる。
  • Markdown / MDX / Content Collections など静的コンテンツと相性が良い。
  • Vercel・Netlify・Cloudflare・自前ホスティングのいずれにも対応。

開発者自前ホスティングの強み

  • デザインの自由度はほぼ無限。自前のデザインシステム・フォント・インタラクションをそのまま適用可能。
  • ビルド・デプロイの自動化。GitHub への push 一回でプロダクションへ。
  • コストはほぼ無料(Vercel・Netlify・Cloudflare の無料プラン内)。
  • コンテンツが自分の Git リポにある。プラットフォーム依存が最も低い。

開発者自前ホスティングのトレードオフ

  • 初期セットアップと運用にコードとデプロイの知識が必要。
  • 有料壁・購読・メール配信などは自前で組み合わせる必要(ConvertKit・Mailgun・Stripe など)。
  • アルゴリズム由来のトラフィックは存在しない。SEO と直接シェアにすべて依存。

14章 · Mintlify / GitBook — ドキュメントファースト

この2つは厳密にはブログプラットフォームではないが、個人の「文章のまとめ・ドキュメント・ノート」を公開する用途でよく使われる。

Mintlify

  • 2022年に始まった開発者向けドキュメントプラットフォーム。AI ベースの検索・コード例・OpenAPI ドキュメント自動化が強み。
  • 料金は無料プラン(個人用)から。独自ドメインマッピングは有料(月150ドルから)。
  • 記事・ドキュメント・ガイド・API リファレンスが1つのサイトに整理される構造。個人メモやノートにも十分使える。

GitBook

  • 2014年にフランスで始まったドキュメントプラットフォーム。無料プランは1人1ドキュメントサイト。
  • 個人 Wiki・ノート・ブログを1つのドメインに集めるパターン。
  • マークダウン / WYSIWYG ハイブリッドエディタ。GitHub 同期も可能。

ドキュメントファースト型の意味

「自分が書く文章は時系列フィードよりトピック別整理に近い」と感じる人に向く。個人 Wiki・ノート・学習ログ・チェックリストなどがよく合う。


15章 · Cohost (RIP 2024) / Read.cv (RIP 2025) — 消えたもの

ブログ・執筆プラットフォームの寿命を語るときに欠かせない2例。

Cohost

  • 2022年に米国の非営利協同組合 anti software software club (ASSC) が作ったブログ・SNS ハイブリッドプラットフォーム。
  • 広告なし、アルゴリズムなし、時系列フィード。ユーザーが直接購読料を払うモデル。
  • 2024年9月に運営終了。会社は「持続可能な収益モデルに達しなかった」と公式発表。
  • 全ユーザーデータは終了前に ZIP バックアップで提供。サイト自体は一定期間 read-only アーカイブで残ったのち閉鎖。

Read.cv

  • 2021年に始まったプロフェッショナルプロフィール・ブログハイブリッド。LinkedIn のミニマルな代替。
  • 記事・CV・ポートフォリオを1ページに整理するデザインが特徴。
  • 2024年に Perplexity が買収。2025年初に段階的にサービス終了。ユーザーデータのエクスポート後にサイトを閉鎖。

消えたプラットフォームが残した教訓

  • 良いデザイン・良いコミュニティ・良いポリシーだけでは事業は続かない。
  • 自分の記事のバックアップと独自ドメインのマッピングは、可能な限り早くしておくべき。
  • 「会社の寿命がブログの寿命」という命題は、すべてのマネージドプラットフォームに当てはまる。

16章 · Are.na — ビジュアルリサーチコミュニティ

Are.na は2014年にニューヨークで始まったビジュアルリサーチ / キュレーションプラットフォームだ。厳密にはブログではなく、「画像・テキスト・リンクをチャンネルにまとめてキュレーションする空間」だ。

Are.na のモデル

  • 料金は無料プラン(保存上限あり)または年45ドルのプレミアム。
  • ブロック(画像・テキスト・リンクなど)をチャンネルにまとめる構造。チャンネルは公開 / 非公開 / 共同編集が可能。
  • 広告なし、アルゴリズムなし。発見はユーザーが直接チャンネルをフォローする方式。

Are.na はブログを置き換えられるか

長文には向かないが、「画像・引用・短いメモ・リンクをテーマ別にまとめる」形式の作業には強力だ。デザイナー・リサーチャー・アーティストの間でカルト的な支持を受けている。2026年時点でもユーザーがゆっくり増えており、少人数運営の安定したビジネスとして続いている。


17章 · Mastodon as blog — フェディバース

Mastodon は本来マイクロブログ(ツイート級の短い投稿)だが、一部インスタンスが文字数制限を引き上げたり(例: 5000字)、専用のフェディバースブログツール(WriteFreely・Plume・Ghost の ActivityPub)と連携することで、「フェディバース上のブログ」というモデルが定着しつつある。

フェディバースブログの強み

  • 分散型。1つのインスタンスが閉じても他のインスタンスへ移れる。
  • 標準化された ActivityPub プロトコル。Mastodon・Misskey・PeerTube・WriteFreely・Ghost・WordPress まで同じネットワーク。
  • 広告なし、アルゴリズムなし、時系列フィード。

フェディバースブログのトレードオフ

  • インスタンス選びと運営者への信頼の問題。1人の管理者の善意に依存する小さなインスタンスが多い。
  • 検索・発見が弱い。ActivityPub そのものが分散検索に強くない。
  • 自分でインスタンスを運営しない限り、結局は誰かの善意に依存する。

18章 · 韓国 — Tistory (Kakao) / Brunch / ネイバーブログ / velog

韓国のブログプラットフォームは4強構図だ。

Tistory (Kakao 配下)

  • 2007年に TNC ソフト(Tattertools)が作ったブログ。2013年に Daum が買収し、2014年の Daum-Kakao 合併後 Kakao 配下に。
  • 独自ドメインマッピング無料。HTML / CSS を直接編集可能 — 韓国でデザイン自由度が最も高いマネージドプラットフォーム。
  • Google AdSense を直接貼れる。韓国の広告収益型ブログのデファクトスタンダード。
  • 2024年のコメント / 通知 / メイン露出システム改編で一部ユーザーが離れたが、それでも韓国ブログトラフィックの大きな部分を占める。

Brunch (Kakao 配下)

  • 2015年に Kakao が始めた作家中心ブログ。申請後に審査を通った作家のみ投稿可能。
  • デザインが統一された高級雑誌風の佇まい。記事のクオリティが平均的に高い。
  • 出版・講演など作家活動につながる事例が多い。
  • 一般ブロガーには参入障壁があり、デザイン自由度はほぼなし。

ネイバーブログ

  • ネイバーが2003年に始めた。韓国検索シェア1位のネイバー検索に最も乗りやすいブログ。
  • ネイバー検索アルゴリズムと深く結びついており、韓国の一般検索トラフィックを狙うなら事実上1択。
  • 独自ドメインマッピングはない。デザインの自由度は限定的。
  • 2024〜2025年の「インフルエンサー」システム改編で、一般ブロガーの露出アルゴリズムが再調整。

velog

  • 2018年に韓国の開発者 Kim Minjun(velopert)が作った開発者ブログ。本人が Vue 開発者という背景で velog。
  • マークダウン優先、コードブロック・シリーズ・タグ・トレンディング。
  • 韓国の新人開発者・ブートキャンプ修了生のデファクト標準。
  • 広告モデルなし。運営側の非営利的運営で維持。
  • 2023〜2024年に運営・広告・コンテンツポリシーの議論があったが、2026年現在も韓国の開発者ブログの大きな柱。

19章 · 日本 — はてなブログ / note.com / アメーバブログ / livedoor blog

日本のブログプラットフォームもほぼ4強だ。

はてなブログ

  • 2013年にはてな社が始めたブログ。前身は2003年の はてなダイアリー。
  • 韓国の Tistory に近い、マネージド + カスタマイズ可能なブログ。
  • 独自ドメインマッピングは有料(はてなブログPro、月1008円)。HTML / CSS の直接編集が可能。
  • はてなブックマーク(ソーシャルブックマーク)との連携。日本の IT / カルチャー / デザイン分野の記事の発見経路としてよく使われる。

note.com

  • 2014年に日本のピースオブケイク社が始めた執筆プラットフォーム。2022年に社名を note 株式会社に変更。
  • 有料記事・マガジン・サブスクリプション・メルマガなど、Substack に比肩するマネタイズオプション。
  • 作家・イラストレーター・企業 PR まで利用。日本の執筆プラットフォーム最大規模。
  • 2025年の IPO 後続フェーズでグローバル展開を試みており、英語・中国語 UI が一部対応。

アメーバブログ

  • 2004年にサイバーエージェントが始めたブログ。韓国のネイバーブログに近いマスマーケットポジション。
  • 芸能人ブログのデファクト標準。日本の芸能人の公式チャネルはほぼアメブロ。
  • 一般ブロガー比率も大きい。デザインの自由度は限定的。

livedoor blog

  • 2003年に始まった日本のブログサービス。2010年に LINE が買収、2016年に LINE から分社化したライブドアが運営。
  • 無料プランでも独自ドメインマッピング可能 — 日本の無料ブログとしては珍しい特性。
  • 比較的軽量なコードと良好な SEO。2026年現在も日本の個人 / 趣味ブログの一角を占める。

20章 · 誰がどれを選ぶか — 入門 / 開発者 / 作家 / 自前ホスティング

最後にシナリオ別の推薦をまとめる。

入門 — デザイン・サーバ・ドメインすべてに気を使いたくない

  • Medium: 最も速いスタート。アルゴリズム由来のトラフィック。書くことに集中。
  • Bear Blog: 独自ドメインは使いたいがデザイン・コードは一切やりたくない場合。
  • note.com (JP) / Tistory (KR): 各国で最大のマネージドプラットフォーム。

開発者 — コードブロック・シリーズ・SEO

  • Hashnode: 独自ドメイン無料、マークダウン、シリーズ、GitHub バックアップ。グローバルなデフォルト。
  • velog (KR): 韓国の開発者・ブートキャンプ生・新人のデファクト標準。
  • Next.js / Astro + Vercel: 自分のドメイン・自分のデザイン・自分のコード。最も自由。

作家 — 文章・雑誌 / ニュースレター・有料購読

  • Substack: ニュースレター優先。メールリストを資産として育てたい場合。
  • Ghost(Pro): 独自ドメイン・独自デザイン・ニュースレター・有料壁を一度に。
  • Brunch (KR) / note.com (JP): 文章のクオリティに集中したい作家。

自前ホスティング — 自由度を最優先

  • WordPress.org: プラグイン・有料壁・EC まですべてのパターン。最大のエコシステム。
  • Ghost self-hosted: 軽量で清潔。ニュースレター・有料壁が標準搭載。
  • Astro / Next.js + GitHub: コンテンツが Git にある最も堅牢な形。

ミニマル / 永続保存

  • Posthaven: 月5ドルで永遠に維持される約束。
  • Bear Blog: 速くて軽くて、10年後にも動く。
  • Mataroa: オープンソース / pay-what-you-want。

フェディバース / 分散

  • Ghost ActivityPub / WriteFreely (Write.as のコア): 自分の記事が Mastodon・フェディバースに自動公開。

消えた / 衰退 — 避けるべき / データを移すべき場所

  • Cohost(2024.9 終了) / Read.cv(2025初 終了): 終了済み。他へ移行したユーザーのデータ事例だけが残る。
  • Mirror.xyz: アクティブユーザーが減り続けている。テーマが本当に Web3 ネイティブでない限り推奨しない。

おわりに — 文章の寿命と、ドメインの価値

本稿で最もよく繰り返された命題は「会社の寿命がブログの寿命」だった。Cohost と Read.cv は終了し、Pinboard は売却され、Tumblr も Yahoo → Verizon → Automattic と渡り歩く中でアイデンティティを失っては取り戻した。

だから2026年にブログを始める人に対する最も安全な一行のアドバイスは、シンプルだ。

自分のドメインを買い、そのドメインで投稿せよ。

プラットフォームが消えてもドメインは残る。ドメインが残れば、同じ URL を別のプラットフォームや静的サイトに移してそのまま生かせる。Hashnode・Ghost・WordPress・Astro・Next.js — 独自ドメインのマッピングが可能なプラットフォームを選んでおけば、その記事は10年後も同じ URL で生きている可能性が高い。

プラットフォームのアルゴリズム・有料壁・広告ポリシーはすべて変わる。その変動に揺さぶられない唯一のものは、自分の記事のバックアップと自分のドメイン — この2つだけだ。


参考 / References