- なぜよりによってこの時期に止まったように感じるのか
- 曲線が緩やかになるのは失敗ではない
- 評価基準が静かに変わる時点
- 深さか広さか — 縦画を一文で
- マネージャートラックという圧力
- この時期の本当の危険は孤立だ
- 続けて読む
なぜよりによってこの時期に止まったように感じるのか
仕事はうまく回っています。担当しているシステムは大きな問題もなく動き、新しく入ってきた要求もだいたいどう処理するか見えます。ところがある瞬間、こう思います。自分は去年と何が変わったのだろう。
この感覚は5年目から10年目のあいだにとくによく来ます。そしてこの時期の停滞感は、たいてい二つが混ざっています。一つは実際に成長が止まっている場合で、もう一つは成長の種類が変わって体感されない場合です。二つを区別しないと、見当違いの処方をすることになります。
曲線が緩やかになるのは失敗ではない
初年の成長には目盛りがありました。昨日知らなかった文法を今日知り、先月できなかったデプロイを今月やり、初めて見る道具を一つずつ覚える。知らなかったことを知るようになる成長は数えられます。
5年目以降の成長は種類が違います。すでに知っているものの中から、より正確に選べるようになる成長です。同じ設計会議で3年前よりよい選択をし、以前なら三週間を溶かしていた方向を初日にたたみます。この改善は実在しますが、目盛りがありません。しなかった失敗は記録されないからです。
だからこの時期の成長はほとんどいつも過小評価されます。確かめる方法が一つあります。3年前の自分ならこの状況で何をしたかを書いてみることです。たいていはかなりの差が出て、その差が目盛りなしに積み上がった分です。
ただし正直に付け加えることがあります。緩やかな曲線と平らな曲線は違います。 3年前といまの判断が実際に同じなら、それは種類の変わった成長ではなく、止まった成長です。上の質問は慰めのためではなく診断のためのものです。
評価基準が静かに変わる時点
この時期に経験する混乱のかなりの部分は、誰も教えてくれない転換から来ます。
初年は自分が作ったもので評価されます。いくつ機能を出したか、コードがどれだけきれいか。ところがある時点から、評価基準が自分が作ったものではなく、自分が作った変化に移ります。この設計がチームの次の半年をどう変えたか、自分が書いた文書が何回の会議を減らしたか、自分がつけた名前が組織の言葉になったか。
転換が明示的に通告されることはまれです。だから、以前の基準で一生懸命やっているのに評価がついてこない状況が生まれます。もっと多く作ったのに認められることは減る、という感覚の正体がこれです。
対応は基準を変えることです。四半期ごとにこう問いましょう。前期に自分が作ったもののうち、自分がいなくても似たように起きたことは何で、自分のせいで変わったことは何か。後ろのリストが空なら、それが停滞の実体です。
深さか広さか — 縦画を一文で
この時期に必ず出てくる問いがあります。一つの分野を深く掘るのか、複数の分野に広げるのか。
問いそのものが少しずれた場所に置かれています。実際に必要なのは二つのどちらかではなく、一本の深い軸と、その軸を他につなげるだけの広さです。広いだけならどこでも決定権がなく、深いだけならその深さが使われる場所が狭くなります。
なので問いをこう置き換えるほうがましです。自分の縦画が何かを一文で言えるか。 特定の言語やフレームワークの名前ではなく、どんな種類の問題を扱う人間かで言ってみることです。大容量データの整合性、遅延に敏感なシステムの運用、レガシーを切らずに移すこと、複数チームが絡むインターフェースの設計のように。
この一文が出てこないなら、停滞感の正体は実力ではなく焦点です。そして焦点は数か月で作れるものではなく、次の仕事を選ぶときに一つずつ揃えていくものです。
マネージャートラックという圧力
この時期にマネージャーの打診が来るか、来なくても圧力を感じます。昇進の経路がマネジメント一つしかない組織がいまも多いからです。
決定を感情でしないために、三つを確認しておくとよいでしょう。
- 人の問題を扱うときエネルギーが生まれるか、抜けるか。 難しい会話を終えた夕方に自分がどんな状態だったかを思い出してください。この答えは好みではなく体力の問題で、数年を左右します。
- 2年後にコードをほとんど書かない自分を想像できるか。 マネージャー役をしながらコーディングを維持するという計画は、たいてい最初の四半期で崩れます。その状態で大丈夫かを先に問う必要があります。
- この組織に個人貢献者トラックが実在するか。 等級表に名前があることと、実際にその等級にいる人がいることは違います。後者がなければ、そのトラックは書類上の存在です。
そして戻せる決定かどうかを見てください。マネージャーから個人貢献者に戻る経路がその組織にあるか、あるならそうした人がいるか。戻せる決定は速くしてよく、戻しにくい決定は時間をかけるほうがましです。判断の枠組みは上手に決める方法でさらに扱っています。
この時期の本当の危険は孤立だ
最後がいちばん大事です。5年から10年のあいだに実際にキャリアを削るのは実力の低下ではなく孤立です。そして孤立は静かに進みます。
三つの形で来ます。第一に、一つの組織のやり方しか知らない状態です。長くいるほどその会社のやり方が業界の標準のように感じられ、実際にはその会社だけの慣行である場合が多いものです。第二に、自分を知る人が全員社内にいる状態です。第4回で扱った問題でもあります。第三に、フィードバックの空白です。年次が上がると誰も自分のコードを真剣にレビューせず、自分の設計に反対する人が減ります。楽に見えますが、成長が止まる最もよくある経路です。
処方は素朴です。四半期に一度、別の会社の人と実務の話をすること。その領域で自分より優れた人に明示的にレビューを頼むこと。そして1on1を進捗報告ではなく情報チャネルとして使うこと。最後の項目は1on1を無駄にしない方法で詳しく扱っています。
停滞の区間はたいてい過ぎます。ただし勝手に過ぎるのではなく、新しい入力が入って初めて過ぎます。この時期に必要なのは、もっと頑張ることではなく外から来る摩擦です。
続けて読む
- 上手に決める方法 — よい決定とよい結果は別物です — 戻せる決定とそうでない決定を分ける
- 1on1を無駄にしない方法 — 進捗報告ではなくメンバーの会議にする — フィードバックの空白を埋める最も安いチャネル
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仕事はうまく回っています。担当しているシステムは大きな問題もなく動き、新しく入ってきた要求もだいたいどう処理するか見えます。ところがある瞬間、こう思います。自分は去年と何が変わったのだろう。