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個人の家計・家計簿 2026 — YNAB / Actual Budget / Monarch / Copilot / Lunch Money / Empower 深掘り比較
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- Youngju Kim
- @fjvbn20031
はじめに
2024年3月、IntuitがMintを終了しました。米国の個人ファイナンス管理の事実上の標準だったツールが25年近い歴史の末に消え、数百万人のユーザーが6週間で新しい居場所を探す羽目になりました。その衝撃でMonarch Money、Copilot Money、Lunch Moneyといった後継ツールが軒並み爆発的に成長し、YNABは元々の忠誠ユーザー基盤の上に新規流入を積み上げました。
この記事は2026年5月時点 — Mint終了から2年、第一波の定着が終わった時点 — でどの家計簿・資産トラッカー・予算管理ツールが生き残り、誰に何を勧められるかをまとめた一記事マップです。米国・韓国・日本のすべてを扱います。
1. 2026年の個人ファイナンス・ツール地図 — Mint亡き後の風景
まず全体像。2026年5月時点で使用可能な主要ツールをカテゴリ別に並べるとこうなります。
| カテゴリ | 代表ツール | 価格 | 地域 |
|---|---|---|---|
| オールインワン家計簿+資産 (Mint後継) | Monarch Money | 年99.99ドル | 米国主流 |
| iOS専用デザイン重視 | Copilot Money | 月13ドル / 年95ドル | 米国iOS |
| ゼロベース予算法 (YNAB) | YNAB | 月14.99ドル / 年109ドル | 米国・英語圏 |
| オープンソース・セルフホスト | Actual Budget | 無料 | グローバル |
| インディー・ブートストラップ家計簿 | Lunch Money | 年120ドル | グローバル |
| 資産・投資追跡 | Empower (旧Personal Capital) | 無料 | 米国 |
| IntuitのMint代替 | Credit Karma | 無料 (広告) | 米国 |
| デスクトップ系家計簿 | Quicken Simplifi | 年47.88ドル | 米国 |
| スプレッドシートベース | Tiller | 年79ドル | グローバル |
| 多国・多通貨対応 | PocketSmith | 月7.50〜24.95ドル | グローバル |
| 英国マイデータ家計簿 | Money Dashboard Neon | 無料 | 英国 |
| 韓国マイデータ | トス資産管理 / バンクサラダ / カカオバンク | 無料 | 韓国 |
| 日本家計簿SaaS | マネーフォワード ME / Zaim / freee家計簿 | 無料〜月500円 | 日本 |
| データインフラ | Plaid / Yodlee / MX | (B2B) | 米国 |
この記事ではほぼ全ての行を1節ずつ扱います。
1.1 2024〜2026の大きな流れ
- Mint終了 (2024年3月23日) — IntuitがMintをシャットダウンし、ユーザーをCredit Karmaへ誘導。
- Monarch Moneyの爆発的成長 — 公式インタビューで2024年3〜4月の1か月でユーザーが約20倍に増えたと回答。価格は年99ドルで維持。
- Copilot Moneyの資金調達&Androidベータ — 2024年にAndroidベータ発表、2025年に正式リリース(iOSが依然として中心)。
- YNABの価格安定化 — 月14.99ドル、年109ドルで定着。
- Actual Budgetのフォーク&開花 — Shift Reset移管後、コミュニティ主導で活発に開発中。自前サーバー+モバイルPWAが標準構成。
- Plaid依存 vs Finicity vs MX — 米国のデータ統合市場ではPlaidが圧倒的だが、VisaのTink、MastercardのFinicity、MXなど代替が一部ツールに採用。
- 韓国マイデータ2年目以降 — トス・バンクサラダ・カカオバンクが市場を分け合う。2024年にバンクサラダが新韓カードに買収され地形変化。
- 日本 — マネーフォワード MEが事実上の標準、Zaimが無料・シンプル陣営、freeeが自営業・法人領域。
1.2 分類軸 — 家計簿 vs 予算 vs 資産追跡
3つのカテゴリは異なる欲求を満たします。
- 家計簿 (expense tracker) — 「先月どこに使った?」を事後に追跡。Mint、マネーフォワード ME、トス資産がここ。
- 予算 (budgeting) — 「今月いくらまで使える?」を事前に配分。YNAB、Actual Budgetが代表。
- 資産追跡 (net worth tracker) — 「自分の純資産はどう動いている?」を統合表示。Empower、Monarchが強い。
1つのツールが複数をカバーすることもありますが、最も得意な領域があります。Monarchは家計簿+資産統合型、Copilotは家計簿+UX、YNABは純粋な予算法、Empowerは資産・退職プラン中心です。
2. Mint終了 (2024年3月) — 何が変わったか
2024年3月23日、IntuitがMintを正式に終了しました。これは単なるサービス終了ではなく、米国個人ファイナンス・ツール市場の地殻変動でした。
2.1 なぜ終了したか
公開された理由と業界の解釈をまとめると以下の通り。
- 収益モデルの限界 — Mintは無料+広告紹介モデルで、Intuit側から見て売上貢献が小さかった。
- Credit Karma統合の意図 — Intuitは2020年にCredit Karmaを買収し、信用+家計簿を1つのプラットフォームにまとめたかった。
- 保守負担 — Mintは16,000以上の金融機関接続を維持する必要があり、老朽化したコードベースが負担に。
- TurboTax / QuickBooks優先 — Intuitの主力SaaSは別にあり、Mintはその陰にいた。
2.2 移行の実際
Mintユーザーに推奨された経路はCredit Karmaでしたが、実際にはそこで家計簿ワークフローを継承できなかったユーザーが多くいました。
- Credit Karmaは家計簿より信用スコア+カード/ローン推薦に重心がある。
- 取引のカテゴリ分類・予算設定・複数口座統合の可視化機能がMintより弱い。
- 結果 — ユーザーがMonarch / Copilot / YNAB / Empower / Lunch Moneyに分散。
2.3 Mint終了の教訓
- 無料ツールの持続可能性の限界 — 広告・データ収益モデルはデータ集約コストを結局払いきれない。
- 有料家計簿の正常化 — Mintが壊した市場の価格認識が回復。月5〜15ドルを取るツールがユーザーを集めた。
- セルフホスト・オープンソースへの回帰 — Actual Budgetが予想外の恩恵を受けた。「自分のデータは自分が持つ」という流れが強化。
- データ集約依存の可視化 — Plaid・Yodleeのようなインフラに全ツールが依存している事実が顕在化。
3. Monarch Money — Mint後継のチャンピオン
Mint終了の最大の受益者は疑いの余地なくMonarch Moneyです。
3.1 何か
- 設立 — 2018年、元Mintメンバーが起業。
- ポジション — Mintの「オールインワン+資産追跡」DNAを有料で作り直したツール。
- 価格 — 月14.99ドルまたは年99.99ドル。7日間無料トライアル。
- プラットフォーム — Web + iOS + Android。
3.2 機能サマリ
- 口座統合 — Plaid + Finicity + 自前直接接続で16,000以上の米国金融機関に接続。
- 資産統合 — 不動産(Zillow評価額連動)、車両、暗号資産、手動口座の追加が可能。
- カテゴリ自動分類 — 機械学習ベース、ユーザー定義ルール可能。
- 共有家計簿 — 夫婦・パートナーが複数ユーザーで1アカウントを協働できる — Mintになかった機能。
- 目標設定 — 緊急資金、ローン返済、退職など目標別追跡。
- キャッシュフロー+純資産チャート — 時系列でひと目に。
3.3 強みと弱み
強み:
- MintのUXをよく継承しており学習コストが低い。
- 共有家計簿が夫婦ユーザーに魅力的。
- モバイル・Webともに美しく、同期がスムーズ。
弱み:
- 年99ドルは家計簿としては高めという意見。
- データ集約が時々途切れる — 大手銀行でも一時的な同期失敗が報告される。
- 韓国・日本の金融機関はほぼ非対応(米国・カナダ中心)。
4. Copilot Money — iOS専用の美麗デザイン
iOSユーザーならCopilot Moneyはほぼ宗教的な推薦を受けるツールです。
4.1 何か
- 設立 — 2019年、元Google・Squareのエンジニアが起業。
- ポジション — 「デザイン優先」家計簿。Apple Design Award 2021受賞。
- 価格 — 月13ドルまたは年95ドル。初月無料(コードで2か月まで延長可)。
- プラットフォーム — iOS・macOSネイティブ優先。Androidは2024年ベータ、2025年正式リリース。
4.2 機能サマリ
- AIによる自動カテゴリ分類 — Copilotのシグネチャ。学習するほど精度が上がる。
- 暗号資産追跡 — Coinbase・Binance・Kraken連動。
- 投資+家計簿+不動産 — 1画面で純資産追跡。
- ウィジェット・Siri・ホーム画面統合 — Apple生態系内での深さ。
- 手動取引入力UX — カード決済通知 → ワンタップで分類、速くスムーズ。
4.3 強みと弱み
強み:
- デザイン — 表面的な美しさだけでなく「情報密度 vs 明瞭性」のバランスが秀逸。
- iOSネイティブのスピード感 — MonarchやYNABが追いつきにくい領域。
- ユーザーごとに学習するカテゴリMLが時間とともに正確に。
弱み:
- 米国外ユーザーには弱い(Plaid依存)。
- Androidは正式リリースされたがiOSほどスムーズではない。
- 夫婦共有家計簿機能がMonarchより弱い。
5. YNAB (You Need A Budget) — メソッド+ツール
YNABは単なるアプリではなく家計簿哲学です。1年使うとユーザーは自然に「YNABの人」になるか、耐えられずに他のツールへ移ります。
5.1 核となる4つのルール
YNABのメソッドは4つのルールに集約されます。
- すべてのドルに仕事を与える — Give Every Dollar a Job — 入ってきたお金はすべて即座にカテゴリに配分。未配分0ドルが定常状態。
- 本当のコストを受け入れろ — Embrace Your True Expenses — 年1回の保険料・車検費用も毎月12分の1ずつ積み立てる。
- 柔軟に転がせ — Roll With the Punches — あるカテゴリが超過したら別のカテゴリから移してよい。罪悪感なしに。
- お金を熟成させろ — Age Your Money — 入ってきたお金が平均何日寝かされてから使われるか(Age of Money)を増やせ。
この哲学は「先予算、後支出」の最も洗練された実装です。
5.2 価格とツール
- 価格 — 月14.99ドルまたは年109ドル。34日間無料トライアル。
- 無料対象 — 学生は1年無料(YNAB for Students)。
- プラットフォーム — Web + iOS + Android。学習コストはあるが、一度習得すると速い。
5.3 強みと弱み
強み:
- メソッドが強力。ユーザーの「予算マインドセット」を変えるツール。
- 取引の自動分類よりユーザー自身に判断させる — 意図性が中心。
- 夫婦ユーザーにも合う(複数ユーザー対応)。
弱み:
- 学習曲線が急。4ルールを理解しないと「高い家計簿」で終わる。
- 資産・純資産追跡は弱い — 家計簿・予算中心。
- 自動・MLカテゴリ分類はMonarch・Copilotより弱い(意図的選択)。
- 価格引き上げへの不満が続く。
6. Actual Budget — オープンソース、無料、セルフホスト
YNABに最も近い哲学を持ちながら、完全にオープンソースで無料です。
6.1 何か
- 原型 — Shift Reset LLCが作った有料デスクトップアプリだったが、2022年にオープンソース化。
- 現在 — コミュニティ主導の開発、GitHubのactualbudget/actualリポジトリ。
- 価格 — 無料。セルフホスト時のサーバー費用のみ。
- プラットフォーム — Web + iOS PWA + Android PWA + デスクトップ。
6.2 中核プロパティ
- 封筒予算法 (Envelope budgeting) — YNABとほぼ同じ思想。
- ローカル優先同期 — データはユーザー端末に保存、サーバーは同期バックエンドのみ。
- セルフホスト — Docker一行で実行可能、NAS/Raspberry Pi/ホームサーバーに展開。
- GoCardless / SimpleFIN連動 — 欧州・米国一部銀行の直接連動(制限あり)。
- 取引インポート — 汎用CSV/OFX/QFX手動インポートですべての銀行をカバー。
6.3 強みと弱み
強み:
- 無料、オープンソース、データ主権を完全確保。
- YNAB哲学が好きだが月額が負担なユーザーに理想的。
- コードを直接修正したりプラグインを書ける。
弱み:
- セルフホストが必要 — Docker / NAS知識がないと参入障壁。
- 自動銀行連動は米国大手銀行の一部に限定。
- モバイルはPWA — 純ネイティブUXではない。
- 夫婦共有家計簿機能は別途設定が必要。
7. Lunch Money — インディー・ブートストラップ ($120/年)
Lunch MoneyはJen Yipが1人で始めたインディー家計簿で、2026年現在も少数精鋭のチームで運営されています。
7.1 何か
- 設立 — 2020年、Jen Yipがブートストラップで開始。
- ポジション — グローバル・多通貨対応家計簿。Plaid+多通貨+暗号資産を統合。
- 価格 — 年120ドル。14日間無料トライアル。
- プラットフォーム — Web優先、モバイルアプリはPWA+iOS・Androidネイティブ。
7.2 機能サマリ
- 多通貨追跡 — 旅行者・海外居住者に強い。USD・EUR・JPY・KRWなどを自動換算。
- 暗号資産 — Coinbase・Binanceなど連動。
- グローバル銀行連動 — Plaid(米国)+GoCardless(欧州)+手動インポート。
- 開発者向けAPI — REST API提供、Notion・Airtable連動を自動化できる。
- カテゴリ+タグ+グループ — 柔軟な分類。
7.3 強みと弱み
強み:
- グローバルユーザーに適する — 韓国・日本・欧州居住者にも一部対応。
- APIが開かれていて開発者が自動化を構築可能。
- インディー運営でフィードバック反応が速い(Discord運用)。
弱み:
- 年120ドルは高め。
- 資産追跡はMonarchより弱い。
- 韓国・日本の銀行は手動インポート中心(自動連動が弱い)。
8. Empower (旧Personal Capital) — 資産追跡
Empowerは家計簿より「資産・退職プラン」ツールです。
8.1 何か
- 元名 — Personal Capital、2009年設立。
- 変更 — 2020年にEmpower Retirementに買収、2023年にブランドをEmpower Personal Dashboardに統合。
- ポジション — 純資産追跡+投資分析+退職プラン。
- 価格 — ダッシュボードは無料。アドバイザリーは運用資産連動の手数料。
- プラットフォーム — Web + iOS + Android。
8.2 機能サマリ
- 純資産チャート — 全口座(チェッキング・貯蓄・証券・401k・IRA・不動産)を統合。
- Investment Checkup — 資産配分・手数料・銘柄分析。
- Retirement Planner — モンテカルロ・シミュレーションで退職実現性を評価。
- 手数料分析 — ファンド手数料が退職資産に与える影響を可視化。
8.3 強みと弱み
強み:
- 資産追跡・投資分析が無料。米国ユーザーに事実上の標準。
- 退職プラン機能の深さは家計簿アプリでは到達不可。
- 401k連動が強い。
弱み:
- 無料ユーザーはアドバイザリー営業電話を受ける(悪名高い)。
- 家計簿・予算機能は弱い — 資産中心ツール。
- 米国外ユーザーにはほぼ無意味。
9. Credit Karma — IntuitがMintを置き換えたもの
Mintユーザーの公式移行先でしたが、実際には別のツールへ行く必要があったケースが多くありました。
9.1 何か
- 本来の目的 — 無料の信用スコア+信用報告書モニタリング。
- Intuit買収 (2020) — TurboTax・Mintとともに、Intuitの個人金融ラインに。
- Mint代替で追加された機能 — 取引カテゴリ、予算、一部の純資産表示。
9.2 強みと弱み
強み:
- 無料、広告モデル。
- 信用スコア・モニタリングは優秀。
- クレジットカード・ローン推薦が役立つ場面がある。
弱み:
- 家計簿機能はMintに遠く及ばない。
- 広告・推薦が中核収益のためUXがそこに最適化されている。
- 予算・カテゴリ・資産統合が弱い — Mintユーザーが最も失望した点。
9.3 結論
MintユーザーにとってCredit Karmaは「公式後継だが実質後継ではない」ツールと評価されています。MintのUXを懐かしむならMonarchかCopilotに行くのが一般的な選択です。
10. Quicken Simplifi / Tiller / PocketSmith
3つのツールはMint・Monarchとはやや異なるニッチを占めます。
10.1 Quicken Simplifi
- リリース — 2020年、デスクトップQuickenのクラウド・モバイル版。
- 価格 — 年47.88ドル(月換算約4ドル)。コスパ第1位。
- プラットフォーム — Web + iOS + Android。
- 強み — Quickenブランドの安定性、米国データ集約の広さ、価格。
- 弱み — UXがやや保守的、共有家計簿機能が限定的。
10.2 Tiller
- ポジション — Google Sheets / Excelベースの家計簿。
- 価格 — 年79ドル。
- 動作 — Tillerが毎日取引をシートに自動プッシュ。分析はシート上で。
- 強み — スプレッドシートで直接分析・レポートが可能。加工の自由度。
- 弱み — シートを扱える必要がある。非エンジニアには急な学習曲線。
10.3 PocketSmith
- リリース — 2008年、ニュージーランド発。
- 価格 — 月7.50〜24.95ドル(プランによる)。
- 強み — 多国・多通貨・将来キャッシュフロー予測が強み。海外居住者に魅力的。
- 弱み — UXがやや古め、学習曲線あり。
11. Plaid + Yodlee — Open Bankingデータ
家計簿ツールの約9割が依存するインフラがPlaid・Yodlee・MX・Finicityです。
11.1 Plaid
- 設立 — 2013年、サンフランシスコ。
- ポジション — 米国市場で事実上の標準API。Venmo・Cash App・Robinhood・Monarch・Copilotなどが使用。
- 連動銀行数 — 米国・カナダ・英国・欧州一部に12,000以上。
- ビジネスモデル — ツール企業にAPI利用料を課金(B2B)。
11.2 Yodlee
- 設立 — 1999年、Plaidよりはるかに古い先輩。
- ポジション — グローバル・カバレッジ優位。Mint・Empower・一部グローバル・フィンテックが使用。
- 買収 — 2015年にEnvestnetが買収。
- 強み — 米国外(アジア・中南米)に一部カバレッジ。
11.3 Finicity / MX
- Finicity — Mastercard子会社、米国市場でのPlaid最大のライバル。
- MX — ユタ州拠点、信用組合・中小銀行に強い。
11.4 Open Banking動向
- CFPB 1033条規則 (米国) — 2024年に確定、銀行がユーザーデータを第三者アプリに提供する義務化。Plaidなどの集約産業に有利。
- PSD2 (欧州) — 2018年から施行。欧州家計簿ツールがGoCardless・TrueLayerなどPSD2ベースAPIを使用。
- 韓国マイデータ — 2022年に本格施行。トス・バンクサラダ・カカオバンクがライセンス保有。
- 日本 — 正式なOpen Banking義務化はないが、マネーフォワード・Zaimが銀行と協約ベースで連動。
12. 韓国 — トス資産 / バンクサラダ / カカオバンクマイデータ
韓国は2022年のマイデータ本格施行以降、家計簿市場が事実上統合されました。
12.1 トス資産管理
- 運営 — トス(Viva Republica)。
- ポジション — 送金・証券アプリ内の家計簿・資産統合機能。
- 価格 — 無料。
- 強み — 韓国ユーザー数1位、銀行・カード・証券マイデータ統合の幅が最広。
- 弱み — 家計簿カテゴリ・予算の深さは専門ツールより弱い。資産追跡が中心。
12.2 バンクサラダ
- 運営 — Rainist → 2024年に新韓カードに買収。
- ポジション — 韓国初のマイデータベース家計簿。
- 価格 — 無料。
- 強み — カテゴリ自動分類・消費分析の深さ。健康・DNA検査などライフスタイル統合も試みた。
- 弱み — 新韓カード買収後の統合・UX変化が進行中。一部ユーザーがトス・カカオバンクに移動。
12.3 カカオバンクマイデータ
- 運営 — カカオバンク。
- ポジション — 銀行アプリ内蔵家計簿。
- 価格 — 無料。
- 強み — カカオバンクユーザーにとって統合利便性。カカオトーク通知連携。
- 弱み — 他銀行・カード統合の深さはトスに劣る。
12.4 Monilab / その他
- Monilab — 個人事業者・フリーランス向け家計簿。
- ピョンハン家計簿 / Clover — トス・バンクサラダ以前世代の手動家計簿(まだ一部ユーザー)。
12.5 韓国市場の推奨
- 一般ユーザー — トス資産管理。
- カテゴリ自動分類・消費分析を深く — バンクサラダ。
- カカオバンクが主取引 — カカオバンクマイデータ。
- データ主権を望み、韓国銀行連動も望む — 現状は困難。手動インポート+Actual Budgetの組み合わせ。
13. 日本 — マネーフォワード ME / Zaim / freee家計簿
日本は韓国に似たマイデータの雰囲気ながら、家計簿専用SaaS市場がより厚いです。
13.1 マネーフォワード ME
- 運営 — マネーフォワード社(東証プライム上場)。
- ポジション — 日本で事実上標準の個人家計簿。
- 価格 — 無料+プレミアム(月500円、年5,300円)。
- 連動 — 2,500以上の日本の金融機関(銀行・カード・証券・電子マネー・ポイント)。
- 強み — 日本市場カバレッジ1位。資産・投資・年金まで統合。
- 弱み — 無料プランは連動可能口座数が制限(現在4個)。データ保存期間も無料は1年。
13.2 Zaim
- 運営 — 株式会社Zaim。2024年にクレディセゾンに買収。
- ポジション — シンプル・無料中心の家計簿。
- 価格 — 無料+プレミアム(月480円)。
- 強み — シンプルなUX、レシートOCR機能、家族共有。
- 弱み — マネーフォワード比で連動の深さが弱い。
13.3 freee家計簿
- 運営 — freee社(自営業・法人会計SaaSの強者)。
- ポジション — 自営業・フリーランスが事業+個人をまとめて管理。
- 価格 — 無料+プレミアム。
- 強み — 事業会計連動、税務申告連携。
- 弱み — 純粋な個人家計簿としてはマネーフォワードの方がスムーズ。
13.4 その他
- おカネレコ — 入力中心のモバイル家計簿。
- B/43 — 家族共同家計簿+プリペイドカードの組み合わせ。
13.5 日本市場の推奨
- 一般ユーザー — マネーフォワード ME。
- 無料・シンプル — Zaim。
- 自営業・フリーランス — freee。
14. 誰が何を選ぶべきか — 米国 / 韓国 / 日本 / セルフホスト
最後に決定木。居住国と優先順位で整理します。
14.1 米国居住者
- Mintユーザーで最も近い後継を望む → Monarch Money。
- iOSユーザーでデザインに敏感 → Copilot Money。
- 予算法を本気で学びたい → YNAB。
- 純資産・退職プラン中心 → Empower(家計簿は別途)。
- コスパ優先 → Quicken Simplifi。
- スプレッドシート派 → Tiller。
- 無料に固執 → Credit Karma + Empowerの組み合わせ。またはActual Budgetのセルフホスト。
14.2 韓国居住者
- 一般ユーザー → トス資産管理。
- カテゴリ分析・消費パターンの深さ → バンクサラダ。
- カカオバンク主取引 → カカオバンクマイデータ。
- データ主権を望む+一部自動連動を諦める → Actual Budgetの手動インポート。
14.3 日本居住者
- 一般ユーザー → マネーフォワード ME(プレミアム推奨)。
- 無料・シンプル → Zaim。
- 自営業 → freee。
14.4 グローバル・海外居住者
- 多国・多通貨 → PocketSmithまたはLunch Money。
- 開発者向け+API自動化 → Lunch Money。
- 完全データ主権+セルフホスト → Actual Budget。
14.5 夫婦・家族共有家計簿
- 米国 → Monarch(複数ユーザー対応)。
- 韓国 → トス資産管理(家族共有機能)。
- 日本 → B/43またはZaim。
14.6 無料に絶対固執
- 米国 → Empower(資産)+Credit Karma(家計簿)+手動。
- グローバル → Actual Budgetのセルフホスト。
- 韓国・日本 → 無料マイデータ / 家計簿(トス、マネーフォワード無料)。
15. 参考 / References
- Monarch Money 公式 — https://www.monarchmoney.com/
- Copilot Money 公式 — https://copilot.money/
- YNAB 公式 — https://www.ynab.com/
- Actual Budget 公式 — https://actualbudget.org/
- Actual Budget GitHub — https://github.com/actualbudget/actual
- Lunch Money 公式 — https://lunchmoney.app/
- Empower Personal Dashboard — https://www.empower.com/personal-dashboard
- Credit Karma — https://www.creditkarma.com/
- Quicken Simplifi — https://www.quicken.com/products/simplifi/
- Tiller — https://www.tillerhq.com/
- PocketSmith — https://www.pocketsmith.com/
- Plaid — https://plaid.com/
- Yodlee — https://www.yodlee.com/
- Finicity (Mastercard) — https://www.finicity.com/
- MX — https://www.mx.com/
- CFPB 1033 規則 — https://www.consumerfinance.gov/rules-policy/final-rules/required-rulemaking-on-personal-financial-data-rights/
- Mint 終了 FAQ (Intuit) — https://help.mint.com/Articles/Mint-FAQ
- トス — https://toss.im/
- バンクサラダ — https://www.banksalad.com/
- カカオバンク — https://www.kakaobank.com/
- マネーフォワード ME — https://moneyforward.com/
- Zaim — https://zaim.net/
- freee — https://www.freee.co.jp/
- B/43 — https://b43.jp/
- 韓国マイデータ総合ポータル — https://www.mydatacenter.or.kr/