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工業数学シリーズ 第4回:2次線形微分方程式

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工業数学シリーズ 第4回:2次線形微分方程式

1次微分方程式が「現在の状態の変化率」を扱ったのに対し、2次微分方程式は加速度や曲率まで含まれるシステムを扱います。そのため、振動、回路、機械システムのように慣性がある現象を説明する際によく登場します。

標準形

最も基本的な2次線形微分方程式は以下の通りです。

ay+by+cy=g(x)ay'' + by' + cy = g(x)

ここでaabbccは定数で、g(x)g(x)は外部入力です。まず外部入力がない斉次式から見ると

ay+by+cy=0ay'' + by' + cy = 0

となります。

なぜ指数関数を最初に思い浮かべるのか

定数係数線形方程式では、指数関数y=erxy = e^{rx}を代入すると微分しても形が保たれます。このため

ar2+br+c=0ar^2 + br + c = 0

という特性方程式が現れ、解の構造はこの2次方程式の根によって決まります。

3つの基本ケース

異なる2つの実根

根がr1r_1r2r_2であれば

y=C1er1x+C2er2xy = C_1 e^{r_1x} + C_2 e^{r_2x}

です。

重根

根がrr一つに重なれば

y=(C1+C2x)erxy = (C_1 + C_2 x)e^{rx}

です。

共役複素根

根がα±iβ\alpha \pm i\betaであれば

y=eαx(C1cosβx+C2sinβx)y = e^{\alpha x}\left(C_1 \cos \beta x + C_2 \sin \beta x\right)

となります。

この最後の形態がまさに減衰振動と結びつきます。

手で解く例題

次の問題を見てみましょう。

y3y+2y=0y'' - 3y' + 2y = 0

特性方程式は

r23r+2=0r^2 - 3r + 2 = 0

で、因数分解すると

(r1)(r2)=0(r-1)(r-2) = 0

なので根はr=1r=1r=2r=2です。したがって一般解は

y=C1ex+C2e2xy = C_1 e^x + C_2 e^{2x}

です。

初期条件が

y(0)=1,y(0)=0y(0)=1, \quad y'(0)=0

であれば

C1+C2=1C_1 + C_2 = 1

C1+2C2=0C_1 + 2C_2 = 0

を得て、解くと

C1=2,C2=1C_1 = 2, \quad C_2 = -1

なので

y=2exe2xy = 2e^x - e^{2x}

となります。

工学応用

質量-バネ-ダンパ系の自然応答は通常

mx+cx+kx=0m x'' + c x' + kx = 0

と書きます。ここで

  • mmは質量
  • ccは減衰係数
  • kkはバネ定数

です。

回路では同じ構造が

Lq+Rq+1Cq=0Lq'' + Rq' + \frac{1}{C}q = 0

のようにRLC回路に現れます。つまり機械システムと電気システムは同じ数学構造を共有しています。

解の解釈方法

工業数学では解を求めた後、必ず振る舞いを読み取らなければなりません。

  • 指数関数の正の実根なら発散
  • 負の実根なら減衰
  • 複素根なら振動
  • 実部が負の複素根なら減衰振動

つまり数式は結局、システムの安定性と応答速度を教えてくれるツールです。

よくある間違い

特性方程式まで解いて解を間違えて書く

重根と複素根の解の形態は異なります。根だけ求めて機械的に一般解を書くと間違えやすいです。

初期条件の適用で微分を適当にする

yy'を正確に求めずに定数だけ合わせようとすると誤差が出ます。まず一般解を整理してから落ち着いて微分する方が安全です。

解の意味を読み取らない

工学の問題では、発散、減衰、振動の有無が核心です。計算だけ終えてシステム解析を省かない習慣が重要です。

一行まとめ

2次線形微分方程式は特性方程式の根を通じて自然応答の形態を読み取るツールです。

次回予告

次の記事では2次方程式を実際の物理システムに結びつけて、減衰、強制振動、共振がどのように現れるかを見ていきます。

参考資料

  • Erwin Kreyszig, Advanced Engineering Mathematics, 10th Edition
  • Steven H. Strogatz, Nonlinear Dynamics and Chaos
  • MIT OpenCourseWare, Vibrations and Waves 関連資料