- はじめに — 200個覚えた人より規則を知っている人のほうが速いです
- 移動と選択 — 方向キーの一族がデータの終わりを知っている理由
- 編集と貼り付け — セルの中にいるか、外にいるか
- 数式 — F4の循環は四つの状態を回ります
- 表とフィルタ — 構造を作るとショートカットを使う機会自体が減ります
- 書式とシート管理 — Ctrl+1一つがダイアログ全体の代わりになります
- Windows・Macの落とし穴まとめと確認できなかったこと
- おわりに — 五つだけ選ぶなら
- 参考資料
はじめに — 200個覚えた人より規則を知っている人のほうが速いです
ショートカット一覧を保存しておいて、一度も開き直さなかった経験があるはずです。一覧が役に立たない理由ははっきりしています。私たちは「ショートカットを使うぞ」という気持ちでExcelを開くわけではありません。表の終わりまで選択しようとしているところだったり、数式をコピーしたら参照がずれて直している最中だったりします。必要な瞬間に一覧のどの行がその作業に当たるか見つけられなければ、そのままマウスを使ってしまいます。
だからこの記事はキーではなく作業でまとめました。そして各グループごとに、個々のキーではなくそのグループを支配する規則を先に説明します。規則を知れば組み合わせを覚える必要がなくなるからです。たとえば方向キーの一族がどんな基準で止まるかを一度理解すれば、Ctrl・Shift・方向キーの八通りの組み合わせを別々に覚える代わりに、一つの動作として理解できるようになります。
表記と検証について先に断っておきます。以下のキーはマイクロソフト公式文書で確認できたものだけを断定して書き、文書で確認できなかったり文書どうしが食い違っていたりする項目はそうだと本文に明示しました。特にMacのキーは同じ機能でもWindowsと違う組み合わせを使う場合が多いので、別途照合しました。手に馴染ませる練習はショートカットトレーナーで繰り返せます。
移動と選択 — 方向キーの一族がデータの終わりを知っている理由
まず最初に手に馴染ませるべきグループです。そして規則一つで全部説明が付きます。
Excelはセルをデータ領域単位で見ます。空の行と空の列に囲まれた連続した塊が一つの領域です。Ctrlと方向キーを一緒に押すと、カーソルは現在の領域の端までジャンプします。公式文書の表現をそのまま借りると、Ctrl・Shift・方向キーは「同じ列または行で最後の空でないセルまで、次のセルが空であればその次の空でないセルまで」選択を拡張します。
この一文が実務のさまざまな現象を説明します。
- 表の途中に空のセルが一つあると、ジャンプはそこで止まります。バグではなく定義どおりに動いた結果です。データに空欄があるという事実を知らせるシグナルとして使えます。
- 空のセルから出発すると、逆に次のデータまで飛び越えます。方向が逆転したのではなく、同じ規則です。
- だから「データがどこまであるか」を確認するもっとも速い方法がこのジャンプです。スクロールする必要がありません。
Shiftを加えると移動が選択に変わります。それだけです。移動の規則さえ知っていれば、選択について別途学ぶことはありません。
| したいこと | Windows | Mac |
|---|---|---|
| データ領域の端までジャンプ | Ctrl + 方向キー | Cmd + 方向キー |
| その端まで選択を拡張 | Ctrl + Shift + 方向キー | Shift + Cmd + 方向キー |
| 現在の領域を選択(繰り返すと拡張) | Ctrl + A | Cmd + A |
| シートの最初へ | Ctrl + Home | Ctrl + Home |
| 使用された最後のセルへ | Ctrl + End | Ctrl + End |
| 行全体を選択 | Shift + Space | Shift + Space |
| 列全体を選択 | Ctrl + Space | Ctrl + Space |
Mac利用者がここでよく混乱するポイントが二つあります。第一に、シートの最初と最後へ行くキーはCmdではなくCtrlです。移動系でWindowsと唯一同じ組み合わせなので、かえって間違えやすいのです。第二に、HomeとEndキーのないノートPCのキーボードでは、FnとFnと方向キーでHomeとEndを作らなければならないので、実際にはCtrlとFnと方向キーを一緒に押すことになります。
Ctrl + Aの動作も規則として理解するほうがよいです。公式文書は「現在の領域を選択し、もう一度押すと集計行まで、三回目押すとシート全体」と案内しています。つまりこのキーはシート全体の選択ではなく領域の拡張であり、シート全体はその拡張の最終段階にすぎません。
編集と貼り付け — セルの中にいるか、外にいるか
このグループの規則は「今セルの中にいるか、外にいるか」です。Excelはこの二つの状態で同じキーを違って解釈し、初心者が経験する混乱のかなりの部分がここから生まれます。
F2はその境界を越えるキーです。セルを選択した状態で押すと編集モードに入り、カーソルが内容の末尾に置かれます。ダブルクリックと同じ動作ですが、手がキーボードを離れません。MacではF2とControl + Uの両方が文書に載っているので、どちらを使ってもかまいません。
編集モードに入っているかどうかが他のキーの意味も変えます。たとえば方向キーは編集モード外ではセル移動ですが、中ではカーソル移動です。数式の中で参照を直そうとしているのに、別のセルが数式に割り込んでくる現象は、編集モードではなく参照入力モードにいるからで、F2を一度押すとその状態が解除されます。
貼り付け側は値のみ貼り付けを一つ確実に覚えておけば十分です。
| したいこと | Windows | Mac |
|---|---|---|
| セル編集モードに入る | F2 | F2 または Control + U |
| 選択した全セルに同じ値を入力 | Ctrl + Enter | Cmd + Return または Control + Return |
| セル内で改行 | Alt + Enter | Option + Return または Control + Option + Return |
| 上のセルの内容をコピー | Ctrl + D | Ctrl + D または Cmd + D |
| 左のセルの内容をコピー | Ctrl + R | Ctrl + R または Cmd + R |
| 形式を選択して貼り付けダイアログ | Ctrl + Alt + V | Cmd + Control + V |
| フラッシュフィル | Ctrl + E | Ctrl + E |
いくつか押さえておきたい点があります。
Ctrl + Enterは知名度の割に使われていません。複数のセルを選択して値を入力した後にこのキーを押すと、選択したすべてのセルが同じ値で埋まります。ドラッグコピーより速く、離れたセルにも一度で入ります。
Macのセル内改行は注意が必要です。WindowsのAltとEnterに対応する組み合わせとして、文書はOption + ReturnとControl + Option + Returnの両方を案内しています。バージョンとキーボード設定によって片方しか動作しない場合があるので、初めて使う環境なら両方押してみて動くほうを使ってください。Macの形式を選択して貼り付けも同様に、文書に複数の組み合わせが載っています。
値のみ貼り付けには、韓国語環境で特に重要な落とし穴があります。WindowsでCtrl + Alt + Vでダイアログを開いた後、項目を一文字で選びますが、その文字は画面の言語に従います。 英語版Excelで値貼り付けがVだと紹介された資料を韓国語版Excelでそのまま真似ると、違う項目が選ばれます。英語基準の文字を覚えるのではなく、ダイアログを開いたときに各項目に下線で示された文字を見て押してください。リボンをAltで操作するときに出るキーヒントも同じ理由で画面の言語によって変わります。
書式のコピーをキーボードで行う方法は、この記事では断定しません。マイクロソフトの書式のコピー案内文書はAlt + Ctrl + CでコピーしAlt + Ctrl + Vで貼り付けると書いていますが、アプリを区別しておらず、Excelで以前から使われていた組み合わせが最近のアップデート以降動作しないというユーザー報告がマイクロソフトQ&Aに多数上がっています。Excelで書式だけを移すときは、形式を選択して貼り付けの書式項目を使うほうがバージョンの影響を受けにくいです。この項目は現在の環境で直接押して確認することをお勧めします。
数式 — F4の循環は四つの状態を回ります
数式作業でもっとも時間を取られるのは関数名ではなく参照です。そして参照問題の大半はF4一つで片付きます。
規則はこうです。参照は行と列をそれぞれ固定でき、したがって状態は四つあります。F4はその四つを順番に回ります。
A1 → $A$1 → A$1 → $A1 → A1 (最初に戻る)
行・列とも 行のみ 列のみ
固定 固定 固定
この順序を覚えるより、「二番目が完全固定」ということだけ覚えておけば実務の90パーセントが解決します。ほとんどの場合必要なのは完全固定で、F4を一度押せばそこに着きます。三番目と四番目の状態は、表形式の数式を縦横同時にコピーするときに使うもので、そのときはどちら側が動くべきかを考えて選べばよいです。
F4には二番目の役割があります。セル編集中でないときに押すと、直前の動作を繰り返します。 行の挿入、書式の適用、セルの結合のように同じ操作を何ヶ所にも繰り返すとき、一度やってからF4を連打すればよいのです。編集中かどうかで同じキーがまったく違う仕事をするわけで、先ほど述べた「セルの中か外か」規則のもう一つの例です。
| したいこと | Windows | Mac |
|---|---|---|
| 絶対・相対参照の循環 | F4 | Cmd + T または F4 |
| 直前の動作を繰り返す | F4 または Ctrl + Y | 文書で確認できず |
| オートSUMの挿入 | Alt + = | Shift + Cmd + T |
| 数式表示の切り替え | Ctrl + グレイブアクセント(`) | Ctrl + グレイブアクセント(`) |
オートSUMはWindowsとMacがまったく違う組み合わせなので特に紛らわしいです。WindowsのAltとイコールは直感的ですが、MacはShift + Cmd + Tです。参考までに、MacでCmd + Tは絶対参照の循環で、そこにShiftが付くとオートSUMになる構造です。
数式表示の切り替えは検証ツールとして使う価値があります。他人が作ったファイルを受け取ったとき、このキーを押すとすべてのセルが値の代わりに数式に変わり、どこがハードコードされた数字でどこが計算結果かが一目で分かります。数字がそのまま見えるマスが、手で入力された箇所です。
名前ボックスはショートカットではなくツールですが、一緒に知っておく価値があります。数式バーの左にある小さな枠で、ここに範囲を入力するとその範囲へ直接移動し選択まで済みます。たとえば特定の区間を指定したいとき、スクロールの代わりに範囲を直接打ち込めばよいのです。ここに名前を付けておけば、数式でアドレスの代わりにその名前を使えるようになり、数式が読める文に近づきます。ただし名前ボックスへフォーカスを移すキーボードショートカットは公式文書で確認できませんでした。マウスでクリックする必要があると考えておくほうが安全です。
表とフィルタ — 構造を作るとショートカットを使う機会自体が減ります
この節の要点は少し逆説的です。表機能を使うとショートカットを使う機会自体が減ります。
通常の範囲では、データが増えるたびに数式の参照範囲を取り直さなければならず、だから範囲選択のショートカットを使い続けることになります。Ctrl + TでExcelの表にすると、その作業がなくなります。行を追加すれば参照が自動で付いてきて、数式や書式も新しい行に自動で拡張されます。数式ではセルアドレスの代わりに列名で範囲を指す構造化参照を使うようになり、数式が短くなります。
| したいこと | Windows | Mac |
|---|---|---|
| 表の作成ダイアログ | Ctrl + T または Ctrl + L | Cmd + T または Ctrl + T |
| フィルタのオン・オフ | Ctrl + Shift + L | Cmd + Shift + F または Ctrl + Shift + L |
| セルのドロップダウンリストを開く | Alt + 下方向キー | Option + 下方向キー |
Ctrl + Lには一つ落とし穴があります。Windowsでは表の作成ダイアログを開くもう一つのキーですが、Mac文書で同じ組み合わせは名前の定義として案内されています。プラットフォームによって違う機能が割り当てられている珍しい事例なので、両方を行き来して使うならCtrl + Lはいっそ使わずCtrl + Tに統一するほうが安全です。
フィルタをオンにした後は、マウスで小さな矢印をクリックする必要がありません。見出しセルにカーソルを置いてAltと下方向キーを押すとドロップダウンが開き、そのなかで方向キーとSpaceで条件を選べます。公式文書がこの組み合わせを説明している文脈はデータ入力規則のリストですが、フィルタボタンのあるセルでも同じ方式で開きます。
書式とシート管理 — Ctrl+1一つがダイアログ全体の代わりになります
書式のショートカットを複数覚える必要はありません。Ctrl + 1一つで表示形式、配置、フォント、罫線、塗りつぶし、セルの保護をすべて含んだダイアログが開きます。リボンでタブを行き来しながら探していたものが一画面にあります。個別の書式ショートカットを覚えるより、このダイアログのなかでキーボードで移動することに慣れるほうが回収が速いです。
| したいこと | Windows | Mac |
|---|---|---|
| セルの書式設定ダイアログ | Ctrl + 1 | Cmd + 1 または Ctrl + 1 |
| セルの挿入ダイアログ | Ctrl + Shift + プラス | Ctrl + Shift + イコール |
| セルの削除ダイアログ | Ctrl + マイナス | Cmd + ハイフン または Ctrl + ハイフン |
| 次のシートへ | Ctrl + Page Down | Ctrl + Page Down または Option + 右 |
| 前のシートへ | Ctrl + Page Up | Ctrl + Page Up または Option + 左 |
| 新しいシートの挿入 | Shift + F11 | Shift + F11 |
行や列を丸ごと扱うときは、前の節の選択ショートカットと組み合わせるとダイアログ自体が出なくなります。Shift + Spaceで行をつかんでから挿入や削除のキーを押すと、何を挿入するか聞かれる必要がないのですぐに実行されます。「まず選択、後で操作」という順序がここでもそのまま当てはまります。
Macでセルの挿入はプラスではなくイコールを使う点に注意してください。WindowsのCtrlとShiftとプラスは、実はShiftとイコールがプラスになる構造なのですが、Mac文書はこれをイコールと表記しています。テンキーのないノートPCで特に紛らわしい点です。
MacでF系列のキーが期待どおりに動かなければ、Fnを一緒に押してください。公式文書もこの点を案内しており、macOSのシステム設定でFキーを標準の機能キーとして使うよう変更できます。F2とF4をよく使うなら、この設定を変えておくほうがよいです。
Windows・Macの落とし穴まとめと確認できなかったこと
一台だけ使えば問題ないが、二つのプラットフォームを行き来すると特によく間違えるものを集めました。組み合わせが少し違うのではなく論理が違う項目です。
| 機能 | Windows | Mac | なぜ間違いやすいか |
|---|---|---|---|
| データの端へジャンプ | Ctrl + 方向キー | Cmd + 方向キー | MacはCmdなのに |
| シートの最初・最後へ | Ctrl + Home / End | Ctrl + Home / End | この項目だけMacもCtrl |
| オートSUM | Alt + = | Shift + Cmd + T | 対応関係がまったくない |
| フィルタの切り替え | Ctrl + Shift + L | Cmd + Shift + F も可 | Macに別の組み合わせがもう一つある |
| セルの挿入 | Ctrl + Shift + プラス | Ctrl + Shift + イコール | 同じキーなのに表記が違う |
| Ctrl + L | 表の作成 | 名前の定義 | 同じキーに違う機能 |
そしてこの記事を書きながら公式文書で確認できなかった項目を明らかにしておきます。確実でないものを確実であるかのように書くほうが、リストを増やすことより有害だからです。
- Excelで書式のコピーをキーボードで行う組み合わせ。書式のコピー案内文書はアプリを区別せず
Alt + Ctrl + CとAlt + Ctrl + Vを挙げていますが、Excelのショートカット文書にはこの項目がなく、最近のアップデート以降動作が変わったという報告があります。 - 名前ボックスへフォーカスを移すショートカット。公式文書で見つかりませんでした。
- Mac版Excelの直前動作の繰り返し。Macのショートカット文書に項目がありません。オフィス共通文書には
Cmd + Yが元に戻す・繰り返し兼用として載っていますが、Excelの文書で確認されたものではありません。 - Windows版Excelの新しいシートの挿入。
Shift + F11はMac文書で確認でき、Windowsでも広く使われていますが、今回確認したWindows文書の本文ではこの項目を見つけられませんでした。
おわりに — 五つだけ選ぶなら
全部覚えようとすると何も残りません。最初の2週間で五つだけ選ぶなら、これを勧めます。データの端へジャンプするCtrlと方向キー、セルの書式設定ダイアログを開くCtrl + 1、参照を固定するF4、選択したセルを一括で埋めるCtrl + Enter、そして値のみ貼り付けです。この五つは使用頻度が高く、それぞれ違う作業グループにまたがっているので、手が複数の状況に適応します。
そしてこの記事で伝えたかったのは一覧ではなく規則です。方向キーがなぜその場所で止まるかを知れば八通りの組み合わせを覚える必要がなく、F4が四つの状態を回ることを知ればドル記号を手で付ける必要がありません。規則は十数個で、ショートカットは数百個ですが、規則のほうがはるかに長く残ります。
一行にまとめるとこうです。Excelがどこで止まるかを知っていれば、どこで止まれと指示する必要はありません。
参考資料
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