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ひらがな・カタカナ完全攻略 — 日本語の最初の一歩

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はじめに

日本語を学ぼうと決めた人が最初にぶつかる壁は、文法でも漢字でもなく「文字」です。ハングルやアルファベットと違い、日本語ではひらがなとカタカナという二種類の音節文字を同時に覚えてから始めることになります。さらに漢字まで加わると、一つの文に三つの文字体系が混ざって使われます。

幸い、仮名は音をそのまま表す表音文字です。一文字が一つの音(正確にはモーラという拍の単位)に対応するので、漢字のように意味を一つずつ覚える必要はありません。基本の文字はそれぞれ46字ほどで、そこに規則的な変形がいくつか加わるだけです。つまり仮名は「覚える量が決まっていて規則が明確な」領域なので、戦略的に取り組めばたいてい一〜二週間で読み書きできるようになります。

この記事では次の内容を扱います。

  1. 仮名体系の全体地図 — 清音、濁音、半濁音、拗音、促音、長音
  2. 五十音図(ひらがな・カタカナ対照)
  3. まぎらわしい文字の見分け方
  4. 筆順の原理と、それがなぜ大切なのか
  5. カタカナが使われる場面(外来語、擬音語・擬態語など)
  6. 実際に覚えられる暗記戦略と学習ロードマップ

仮名文字の全体地図

まず大きな絵を描きましょう。日本語の音は基本的に「子音 + 母音」一組からなる音節です。母音は五つ(あ a、い i、う u、え e、お o)で、そこに子音をつけて行をつくります。

分類説明
清音濁点のない基本の音か ka、さ sa、た ta
濁音文字の右上に濁点をつけた音が ga、ざ za、だ da
半濁音は行に半濁点をつけた音ぱ pa、ぴ pi、ぷ pu
拗音い段の文字 + 小さい や・ゆ・よきゃ kya、しゅ shu、ちょ cho
促音小さい っ で表す詰まる音きって kitte
撥音ん 一文字の鼻音ほん hon
長音母音を一拍長くのばす音おかあさん okaasan

この表を理解すれば、日本語の音の体系の九割は終わりです。では一つずつ詳しく見ていきます。

五十音図 — 清音の基本表

仮名の骨格は「五十音図」と呼ばれる表です。横軸は母音五つ、縦軸は子音の行です。実際には五十字すべては埋まらず空欄がいくつかあるため、現代日本語の基本清音は46字です。

次はひらがなの五十音図です。括弧内はローマ字読みです。

あ段(a)い段(i)う段(u)え段(e)お段(o)
あ行あ (a)い (i)う (u)え (e)お (o)
か行か (ka)き (ki)く (ku)け (ke)こ (ko)
さ行さ (sa)し (shi)す (su)せ (se)そ (so)
た行た (ta)ち (chi)つ (tsu)て (te)と (to)
な行な (na)に (ni)ぬ (nu)ね (ne)の (no)
は行は (ha)ひ (hi)ふ (fu)へ (he)ほ (ho)
ま行ま (ma)み (mi)む (mu)め (me)も (mo)
や行や (ya)ゆ (yu)よ (yo)
ら行ら (ra)り (ri)る (ru)れ (re)ろ (ro)
わ行わ (wa)を (wo)
撥音ん (n)

ここで、読みが規則から少しずれる箇所に特に注意してください。さ行の し は「shi」、た行の ち は「chi」、つ は「tsu」、は行の ふ は「fu」に近い音です。規則どおりなら si、ti、tu、hu のはずですが、実際の音は異なります。この五文字は最初から正しい音で覚えておくのがよいでしょう。

カタカナも同じ配列を持ちます。形が違うだけで、音と順序は同じです。

ア段(a)イ段(i)ウ段(u)エ段(e)オ段(o)
ア行ア (a)イ (i)ウ (u)エ (e)オ (o)
カ行カ (ka)キ (ki)ク (ku)ケ (ke)コ (ko)
サ行サ (sa)シ (shi)ス (su)セ (se)ソ (so)
タ行タ (ta)チ (chi)ツ (tsu)テ (te)ト (to)
ナ行ナ (na)ニ (ni)ヌ (nu)ネ (ne)ノ (no)
ハ行ハ (ha)ヒ (hi)フ (fu)ヘ (he)ホ (ho)
マ行マ (ma)ミ (mi)ム (mu)メ (me)モ (mo)
ヤ行ヤ (ya)ユ (yu)ヨ (yo)
ラ行ラ (ra)リ (ri)ル (ru)レ (re)ロ (ro)
ワ行ワ (wa)ヲ (wo)
撥音ン (n)

濁音と半濁音

清音の文字に濁点(文字の右上の小さな二つの点)をつけると、音が濁って有声音になります。これを濁音といいます。

清音濁音音の変化
か行が行ka → ga
さ行ざ行sa → za
た行だ行ta → da
は行ば行ha → ba

濁音の表は次のとおりです。

あ段い段う段え段お段
が (ga)ぎ (gi)ぐ (gu)げ (ge)ご (go)
ざ (za)じ (ji)ず (zu)ぜ (ze)ぞ (zo)
だ (da)ぢ (ji)づ (zu)で (de)ど (do)
ば (ba)び (bi)ぶ (bu)べ (be)ぼ (bo)

注意点があります。じ と ぢ はどちらも「ji」、ず と づ はどちらも「zu」と発音されます。現代日本語ではほとんどの場合 じ と ず を使い、ぢ と づ は特定の単語(つづく、はなぢ など)でのみ限定的に登場します。

半濁音は は行だけに存在します。文字の右上に小さな丸(半濁点)をつけると p の音になります。

あ段い段う段え段お段
ぱ (pa)ぴ (pi)ぷ (pu)ぺ (pe)ぽ (po)

つまり は行一行が、清音(ha)・濁音(ba)・半濁音(pa)の三通りに変身できるわけです。

拗音 — 小さい文字でつくる合成音

い段の文字(き、し、ち、に、ひ、み、り、ぎ、じ、び、ぴ)のあとに小さい や・ゆ・よ をつけると、二文字が一拍に合わさった音になります。これを拗音といいます。小さい文字であることが要点です。普通の大きさの や を使うと二拍になり、まったく違う単語になります。

基本+ ゃ+ ゅ+ ょ
きゃ (kya)きゅ (kyu)きょ (kyo)
しゃ (sha)しゅ (shu)しょ (sho)
ちゃ (cha)ちゅ (chu)ちょ (cho)
にゃ (nya)にゅ (nyu)にょ (nyo)
ひゃ (hya)ひゅ (hyu)ひょ (hyo)
みゃ (mya)みゅ (myu)みょ (myo)
りゃ (rya)りゅ (ryu)りょ (ryo)
ぎゃ (gya)ぎゅ (gyu)ぎょ (gyo)
じゃ (ja)じゅ (ju)じょ (jo)
びゃ (bya)びゅ (byu)びょ (byo)
ぴゃ (pya)ぴゅ (pyu)ぴょ (pyo)

たとえば きょう(kyou)は「今日」という一つの単語ですが、きよう(kiyou)は文字どおり三拍で別の意味になります。小さい文字と普通の文字の違いが意味を分けることを必ず覚えておきましょう。

促音・撥音・長音 — 拍を扱う規則

仮名をすべて覚えても、いざ単語を読むとぎこちなくなる原因はたいてい拍(モーラ)の処理です。日本語は拍の言語なので、文字一つ一つが均等な長さを持ちます。

促音(っ)

小さい っ はそれ自体は音を持ちませんが、一拍を占めます。後ろに続く子音を一拍のあいだ止めてから出す感じで、韓国語のパッチムに似ています。

表記発音意味
きってkit-te切手
がっこうgak-kou学校
いっぱいip-paiいっぱい
ざっしzas-shi雑誌

きて(来てください)と きって(切手)は、小さい っ 一つで意味がまったく変わります。

撥音(ん)

ん はパッチムのように使われる鼻音です。後ろに来る音によって実際の発音は n、m、ng に近く変わりますが、学習初期は「一拍の鼻音」と理解すれば十分です。ほん(本)、せんせい(先生)のように一拍をきちんと占めます。

長音

母音を一拍長くのばすのが長音です。ひらがなでは母音の文字を添えて表記します。

長音の表記規則
あ段+ あおかあさん(お母さん)
い段+ いおにいさん(お兄さん)
う段+ うくうき(空気)
え段+ い(主に)せんせい(先生)
お段+ う(主に)がっこう(学校)

長音は長さで意味を分けます。おばさん と おばあさん は長音一つの違いで意味がまったく変わります。ゆき(雪)と ゆうき(勇気)も同様です。長さをいい加減にすると別の単語になるので注意しましょう。

カタカナでは長音を長い棒の記号(長音符 ー)で表記します。コーヒー、ラーメン のように横棒一つで母音を長くのばします。

まぎらわしい文字の見分け方

仮名を覚えるとき、だれもが一度はつまずく「双子の文字」があります。形の似た文字どうしをまとめて違いを意識的に区別しておくと、混同を大きく減らせます。

ひらがなでまぎらわしい組

見分けのポイント
ね / れ / わ三つとも左の縦画は同じですが、右の終わり方が違います。ね は丸く巻き、れ はまっすぐ下り、わ は丸なしでなめらかに抜けます
る / ろる は終わりに小さな輪、ろ は輪なしで開いています
あ / おあ は右下に輪、お は右に点が別についています
は / ほほ は は の右上に横画が一本多くあります
さ / きき は横画が二本、さ は一本です
ま / も縦画の向きと横画の数で区別します

カタカナでまぎらわしい組

カタカナは直線が多く単純なので、似て見える組がさらに多くなります。

見分けのポイント
ソ / ンソ は点を上から下へ短く、ン は下から上へ引きます。二画目の向きが要点です
シ / ツシ は点二つを横に寝かせ下から上へ、ツ は点二つを立てて上から下へ引きます
ク / ワ / タク は二画、ワ は丸い感じ、タ は点が一つ多く入ります
ア / ママ は上が閉じた三角の感じです

ソ・ン・シ・ツ の区別は結局「画を引く向き」で決まります。だからカタカナだけは目で覚えるより、実際に手で書いて筆順を身につけたほうが確実に区別できます。

筆順の原理

仮名には決まった筆順があります。「同じ形になればいいのでは」と思いがちですが、筆順を守るべき明確な理由があります。

  1. 字の形が安定する。 筆順は字がもっとも自然で均整よく出るように決められています。順序を無視すると歪みやすくなります。
  2. 速く一貫して書ける。 手になじんだ筆順は手書きの速度を上げ、崩して書くときも形を保たせます。
  3. 似た字を区別できるようになる。 先に見た シ と ツ、ソ と ン は画の向きがそのまま正体です。筆順を知れば自然に区別できます。

筆順の基本原則は漢字と同じです。

原則説明
上から下へ横画・縦画とも上から
左から右へ同じ高さなら左の画から
横が先、縦が後(おおむね)交わるときはふつう横画を先に
外が先、内が後囲む画を先に引いて中を埋める

最初から正しい筆順で練習しておけば、あとで漢字を学ぶときにそのまま応用できます。

カタカナはいつ使うのか

ひらがなとカタカナは音が同じなのに、なぜ二組必要なのでしょうか。両者は使われる場面が違います。ひらがなが日本語の固有語や文法要素(助詞、語尾)を書く基本の文字であるのに対し、カタカナは特定の用途に限られます。

用途
外来語コンピューター、テレビ、コーヒー
外国の人名・地名アメリカ、パリ、スミスさん
擬音語・擬態語ワンワン、キラキラ、ドキドキ
動植物の学術名・名前イヌ、サクラ — 学術的・一般的な表記
強調本来ひらがなで書く語をあえてカタカナで書いて強調
企業・商品ブランドトヨタ、ソニー

特にITや技術分野ではカタカナ外来語が圧倒的に多く登場します。データ、サーバー、クラウド、アプリ のように英語由来の用語がほとんどカタカナで表記されるため、技術日本語を扱うならカタカナのほうがひらがなより頻繁に使われると感じるほどです。

カタカナ外来語は日本語式に音が変わっている点も知っておくべきです。英語の「McDonald's」は マクドナルド、「Starbucks」は スターバックス になります。もとの英語の発音とかなり違うので、カタカナを読むときは「もとの英単語は何だろう」と逆に推測する感覚を養うと役立ちます。

覚えられる暗記戦略

仮名は結局「暗記」の領域です。やみくもに表をにらんでも覚えられません。認知科学的に効果が確かめられたいくつかの戦略を組み合わせるのが速いです。

1. 連想記憶

文字の形を見慣れたイメージと結びつける方法です。

文字連想の例
き (ki)鍵(key)の形のよう
ふ (fu)富士山(Fuji)のような山の輪郭
め (me)目(め)を描いたような形
の (no)英語の「no」の丸い禁止マーク

連想は最初に文字を覚えるときの入口を下げてくれます。ただし連想だけに頼ると遅くなるので、ある程度慣れたら連想の段階を経ずにすぐ思い出す練習に進むべきです。

2. 書くこと

手で実際に書くことは、形を覚えるだけでなく筆順や運動記憶まで一緒に刻みます。特に シ・ツ・ソ・ン のように向きが大切なカタカナは、書かないと絶対に確実になりません。一文字を十回ずつ写す機械的な反復より、音を口で言いながら一回ずつていねいに書くほうが効果が大きいです。

3. 想起練習

もっとも強力なのは「見て覚える」ではなく「思い出してみる」ことです。表を隠したまま空欄を埋めたり、無作為に文字を見せて音を言ったりする想起練習が、長期記憶への近道です。フラッシュカード(表に文字、裏に音)や間隔反復(SRS)アプリを使えば、想起練習を自動で管理してくれます。

4. 実物のなかで出会う

覚えた仮名を実際の日本語コンテンツのなかで再び見ると、記憶が強まります。メニュー、広告、歌詞、ゲーム画面などで知っている文字を探して読んでみましょう。「勉強」ではなく「発見」になると、学習はずっと長続きします。

発音で注意する点

仮名が読めるようになっても発音が完成するわけではありません。ここでは学習者が特に気をつけたい点をまとめます。

  1. 長短をはっきりと。 おばさん/おばあさん のように母音の長さが意味を分けます。のばすところは確実に一拍長く発音しましょう。
  2. 促音(っ)を一拍で。 パッチムのように流さず、止まった状態を一拍ぶん保つと自然です。
  3. つ(tsu)の発音。 舌先を上の歯の裏にあてて離す「つ」に近づけて練習しましょう。
  4. ら行は r と l の中間。 舌を軽くはじく感じです。
  5. 高低アクセント。 日本語は強さではなく音の高低で単語を区別します。初期は完璧でなくてよいですが、音源をそのまままねるシャドーイングで自然に身につけるのがよいでしょう。

外来語のための拡張カタカナ

カタカナには、日本語本来の音にはないが外来語を書くために作られた拡張表記があります。小さな母音の字(ァ、ィ、ゥ、ェ、ォ)をほかのカタカナのあとにつけて、日本語になかった音をまねます。

表記
ファfaファイル(file)
フィfiフィルム(film)
ウェweウェブ(web)
ヴァvaヴァイオリン(violin)
ティtiパーティー(party)
ディdiディスク(disk)

これらの拡張表記は、主に英語の外来語を日本語の音に近づけて書くために使われます。特にIT・技術用語によく登場するので、基礎のカタカナを身につけたあとに一緒に知っておくとよいでしょう。ヴ(vu)のように本来日本語にない v の音のための字もありますが、実際にはバ行(b)で代用して書く場合も多いです(violin を バイオリン とも表記)。

学習ロードマップ

最後に、仮名を終わらせる現実的な順序を提案します。期間は一日30分〜1時間の学習を基準としたおおよその目安で、人によって異なることがあります。

段階期間(目安)目標
第1段階1〜3日ひらがな清音46字を見て音にする
第2段階2〜3日濁音・半濁音・拗音までひらがな全体を読む
第3段階1〜2日促音・長音の規則を単語のなかで身につける
第4段階3〜5日カタカナ全体(特に シ・ツ・ソ・ン の区別)
第5段階継続実際の単語・文のなかで読む速度を上げる

要点は「完璧に覚えてから次へ」ではなく「だいたい身につけてから実際の単語のなかで反復して固める」ことです。最初からすべての文字を100パーセント記憶しようとすると疲れます。七割ほど身についたと感じたら、すぐに単語や短い文を読み始めましょう。文脈のなかで同じ文字に何十回も再会することが、表をにらむよりずっと効率的です。

ひらがなとカタカナはどこから来たか

二つの仮名がなぜ違う形なのかを知ると、字の形がぐっと親しみやすくなります。どちらも漢字から生まれましたが、作られ方が違います。

仮名由来の方式もとの性格
ひらがな漢字をくずして柔らかく流して書いたことから発展丸く柔らかい曲線
カタカナ漢字の一部分(画の一かけら)を取り出したことから発展直線的で角ばった形

たとえば ひらがな の あ は漢字の 安 をくずした形から、カタカナ の ア は同じ 安 の上の部分だけを取り出した形から来たといわれています。ひらがなが曲線中心でカタカナが直線中心なのは、まさにこの出自の違いです。

歴史的に、ひらがなはかつて主に女性が使った字とされ「女手」と呼ばれ、カタカナは僧侶や学者が漢文を読むときの補助記号として出発しました。今日ではこうした性別・身分の区別はなくなり、先に見た用途(固有語・文法はひらがな、外来語・強調はカタカナ)で役割が分かれて使われています。

よくある質問

仮名を学ぶ人がよく投げかける質問をまとめます。

  1. ひらがなとカタカナ、どちらを先に学ぶべきですか。 ふつうはひらがなからをおすすめします。日本語の文の骨格(助詞・語尾・固有語)がひらがなで書かれるので、ひらがなだけ知っていても基礎の文の骨組みが見えます。カタカナはそのあとでも遅くありません。
  2. 仮名を全部覚えるのにどれくらいかかりますか。 人によりますが、一日30分〜1時間集中すれば、たいてい一〜二週間で読めるようになります。「読み」が先で「書き」はその後についてきます。
  3. ローマ字表記だけ知っていてはだめですか。 ローマ字は補助の道具にすぎません。実際の日本語コンテンツは仮名と漢字で書かれているので、ローマ字だけに頼ると何も読めません。最初から仮名を直接読む練習が必要です。
  4. 高低アクセントを最初から気にするべきですか。 初期は文字と拍に集中し、アクセントは音源をまねて自然に身につければよいです。完璧なアクセントは後の問題です。

読み練習用の基礎単語

表だけ覚えても文字は手になじみません。覚えた仮名を実際の単語のなかで回してみて、はじめて読む速度がつきます。次は初級段階でよく登場し、同時に清音・濁音・拗音・促音・長音をまんべんなく練習できる単語です。声に出して読みながら、どの文字と規則が入っているか意識してみましょう。

単語読み意味練習ポイント
ねこneko基本の清音、ね/れ の区別
いぬinu基本の清音、ぬ/め の区別
がっこうgakkou学校濁音 + 促音 + 長音
でんわdenwa電話濁音 + 撥音 ん
きょうkyou今日拗音 + 長音
しゃしんshashin写真拗音 + 撥音 ん
せんせいsensei先生撥音 ん + 長音
ありがとうarigatouありがとうら行 + 長音
こんにちはkonnichiwaこんにちは撥音 ん + は を wa と読む
おいしいoishiiおいしい連続母音 + 長音

最後の こんにちは には落とし穴が一つあります。終わりの は は字どおりなら「ha」ですが、あいさつでは助詞として使われ「wa」と発音されます。このように助詞として使われる は(wa)、へ(e)、を(o)は表記と発音が違う代表的な例外なので、別に覚えておきましょう。

カタカナの単語も一緒に練習するとよいでしょう。特にITや日常でよく見る外来語から始めると動機づけになります。

単語読み原語練習ポイント
コーヒーkoohiicoffee長音符 ー が二回
テレビterebitelevision濁音 ビ
パソコンpasokonpersonal computer半濁音 パ + 撥音 ン
インターネットintaanettointernet長音 + 促音 ッ
ソフトsofutosoft(ware)ソ/ン の区別
データdeetadata長音 + 濁音

助詞として使われる文字の発音例外

仮名の読みで初級者がもっともよく間違えるのが助詞の発音です。同じ文字でも、単語のなかにあるときと助詞として使われるときで発音が変わる三文字をまとめます。

文字単語のなかの発音助詞のときの発音助詞の例
hawaわたしは(私は)
heeがっこうへ(学校へ)
wooみずを のむ(水を飲む)

この三つは規則ではなく覚えるべき例外です。幸いよく使う助詞なので、文を少し読めばすぐ慣れます。「主題を表す は は wa、方向を表す へ は e、目的語を表す を は o」と口になじませておきましょう。

仮名の次に来るもの — 次の段階の予習

仮名を終えると自然に次の問いが生まれます。「これから何をすべきか」。仮名は終わりではなく始まりなので、次の段階をあらかじめ描いておくと学習が途切れません。

次の段階内容仮名とのつながり
基礎語彙あいさつ・数字・日付・基本動詞仮名で読み書きしながら自然に
基礎文法助詞、丁寧体(です・ます)助詞の発音例外をここで活用
漢字入門よく使う基礎漢字から漢字に仮名のふりがなが付く
聞く・話すシャドーイング、簡単な会話仮名で身につけた発音を実戦へ

特に漢字学習に進むとき、仮名をしっかりさせておいたことが大きく助けになります。漢字には読み方を小さな仮名で表したふりがなが付くことが多いので、仮名を速く読めるほど漢字学習も楽になります。また日本語の動詞・形容詞の活用語尾はすべてひらがなで書かれるので、文法を学ぶときも仮名を読む速度がそのまま学習の速度になります。

要するに仮名はそれ自体が目標でありながら、同時にその後のすべての学習の土台です。最初のボタンをしっかり留めることが、以後のすべての段階をなめらかにします。

初級者がよくする間違い

最後に、仮名の段階で学習者が繰り返し陥る落とし穴を集めました。あらかじめ知っておけば同じ間違いを避けられます。

  1. 長音を短く流す。 おばさん と おばあさん を区別できないと困った状況が生まれます。長音は必ず一拍長く。
  2. 促音を抜かす。 きて(来てください)と きって(切手)は小さい っ 一つの違いです。止まる一拍を必ず入れましょう。
  3. 小さい や と普通の や の混同。 きょう(今日)と きよう(別の単語)は字の大きさで分かれます。拗音の小さい字を明確に小さく書き読みましょう。
  4. シ・ツ・ソ・ン を目だけで覚える。 このカタカナは画の向きが正体です。必ず手で書いて身につけましょう。
  5. ローマ字だけに頼る。 ローマ字表記に頼ると、肝心の仮名が読めなくなります。最初は遅くても仮名を直接見て音にする練習を優先しましょう。
  6. 完璧主義で進度が止まる。 すべての文字を100パーセント覚えてから次へ行こうとすると疲れます。七割で単語読みに進みましょう。

おわりに

仮名は日本語という長い旅の最初の関門ですが、同時に「努力すれば必ず終わる」明確な目標でもあります。漢字のように終わりが見えない領域ではなく、決まった文字数と規則さえ身につければ、だれでも通過できます。

この最初の関門を早く越えれば、そこからは本当の日本語、つまり単語と文法と表現の世界が開きます。仮名が読めるということは、日本語コンテンツという巨大な入力源が突然開くということでもあります。メニューを読み、歌詞を口ずさみ、ゲームを日本語で楽しむその瞬間を目標に、今日ひらがな一行から手で書いてみることをおすすめします。

次の記事では、日本語のもう一つの大きな山である漢字の構造、つまり部首と音読み・訓読みの原理を扱います。

参考資料