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プロジェクト管理 & イシュートラッカー 2026 — Linear / Jira / Asana / ClickUp / Height / Shortcut / Notion / Plane / Backlog 徹底比較
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- Youngju Kim
- @fjvbn20031
プロローグ — 「Jiraやめよう」が毎年トレンドする理由
毎年1月になると、LinkedInとXに同じような投稿が流れる。「今年こそJiraをやめる」。そして11月頃、同じアカウントが書く。「結局Jiraに戻った」。2026年も、そのcycleは回っている。
この記事は、そのcycleの中で道具の地図を描こうとする試みだ。2026年現在どのPM/イシュートラッカーが生きているか、何が新しく出てきたか、何が死んだか(RIP Pivotal Tracker、2023年10月)。そして自分たちのチームに何が合うか — 5人のシードスタートアップから5000人のエンタープライズまで。
重要な変化は4つ。
- Linearはもはやクールなインディオプションではなくなりつつあるどころか標準だ。 2024年5月Series Cで評価額12.5億ドル。2026年現在、OpenAI、Vercel、Ramp、そしてLinear自身が使っている。Jiraの位置が初めて本当に揺れている。
- AIがPM道具の入口を書き換えた。 Height(最初からAIネイティブ)、Linear AI、Jiraに入ったAtlassian Intelligence、Notion ProjectsのNotion AI — 2026年は「ティケットを人が書く」ではなく「AIが整理する」がデフォルト。
- Pivotal Trackerが終了した。 2023年10月31日にシャットダウン。Shortcut、Linear、Jiraがそのユーザーを分け合った。「ストーリーポイント + ベロシティ」純血種の後継はまだ空席。
- ロードマップ/ディスカバリ市場が独立して育った。 Productboard、Aha!、Pendo Roadmaps、Jira Product Discovery — 「イシュートラッカーではないPM道具」が一つのカテゴリーとして確立した。
本稿は16章で全体を見る。次の四半期に何に乗り換えるか(あるいは乗り換えないか)を決めるときの参考に書いた。
1章 · 2026年PM道具の地図 — 4 陣営
道具が多すぎるので、まず4つの陣営に分ける。
| 陣営 | 対象 | 代表道具 |
|---|---|---|
| 開発者ファースト | エンジニア、速いサイクル、キーボード | Linear, Shortcut, Height, Plane, GitHub Projects, GitLab Issues |
| 汎用ワークマネジメント | マーケ・デザイン・運営を含む全社 | Asana, ClickUp, Monday.com, Notion Projects, Basecamp |
| エンタープライズ/標準 | 大組織、コンプライアンス、カスタマイズ | Jira (Atlassian), Microsoft Project, Smartsheet, Wrike |
| 製品ディスカバリ/ロードマップ | PM、意思決定 | Productboard, Aha!, Pendo Roadmaps, Jira Product Discovery |
この分類は完全ではない。ClickUpは「オールインワン」を標榜しているので4陣営すべてに少しずつ掛かる。Notion Projectsは「ワークマネジメント」だがNotion自体のドキュメント統合があるので独自の感触がある。Jiraは「エンタープライズ」だがAtlassianのJira Cloud Standardはスタートアップも使う。
それでもこの4陣営を頭に置いて道具を見ると、違いが読める。
開発者ファースト陣営は「エンジニアが自分でティケットを書いて閉じる」がデフォルト。キーボードショートカットが核、GitHub/Slack統合が核、デザインが綺麗。PMが別のJiraギャラリーでカードを引きずるのではなく、エンジニアがPRの隣でクリックする。
汎用陣営は「エンジニアではない人も使う」が前提。マーケキャンペーン、デザインレビュー、HRオンボーディング、コンテンツカレンダー — みんな一緒に入る。それを成立させるためにGantt・Calendar・Workloadビューがしっかり作られている。
エンタープライズ陣営は「5000人組織でカスタマイズとガバナンスが生き残る」が肝。Jiraのワークフロービルダーがその典型。小さなチームには過剰だが、5000人ではそれが命綱。
ディスカバリ陣営は比較的新しい。「機能要望を集め、優先度を付け、ロードマップで見せる」というPM固有のワークフローのためだけの道具。トラッキング道具ではなく意思決定道具。
2章 · Linear — 開発者の愛を独占、2024年Series C(12.5億ドル)
2026年のPM道具を一言で説明するなら「Linearが勝った」。少なくともSF / NY / ベルリンのシード〜シリーズBスタートアップの間では、その合意がある。
数字。 Linearは2019年にKarri Saarinen(元AirbnbデザイナーCEO)、Tuomas Artman(元Uber)、Jori Lallo(元Coinbase)が創業。2024年5月のSeries Cで8000万ドルを調達、評価額12.5億ドル(Accelリード、16ヶ月で約4倍)。2026年現在ARRは1億ドルを大きく超えていると報じられている。
なぜ愛されるか。 3つが決定的。
- 速い。 キーボードショートカットが圧倒的、ティケットが1秒で作れる。Cで新規イシュー、Cmd+Kでどこへでもジャンプ、Tabでステータス変更。Jiraで5秒かかる動作が0.5秒で終わる。
- デザイン。 Karri SaarinenがAirbnbのデザインシステムを作った人物だ、というのがそのまま出る。ダークモード、タイポグラフィ、インタラクション — 他のPM道具が使えなくなる。
- Cycle(サイクル)モデル。 Linearはスプリントを「Cycle」と呼び、2週間ごとに未完了を次のサイクルへ自動繰り越し。Pivotal Trackerの「Iteration」精神を継いでいる。
2024–2026年の新機能。 Linearは「イシュートラッカー」からより広いPM道具へ徐々に進化中。
- Linear Projects(2023)。 ロードマップ・プロジェクト・マイルストーンをイシューと束ねる。
- Triage(2024)。 Slackメッセージ・メール・Sentry・チャットから自動でイシューを集めるinbox。
- Linear AI(2025)。 自動分類、重複検出、要約。2025年後半からClaude/GPT両方をバックエンドとして選択可能。
- Insights(2025)。 サイクルbar burndown、チームthroughput、blocker分析 — 自前のダッシュボーディングを強化。
- Linear for Customer Support(2026)。 サポートケースを自動でイシューに変換。Intercom・Zendesk統合。
料金。 Free(メンバー無制限、250イシュー)、Standard 14/user/month(2026年5月時点)。PlusはSSO・監査ログ・サイクル自動化などエンタープライズ機能。
弱点。
- カスタマイズが弱い。 Jiraのようにワークフローを自由に作れない。「Linearのやり方」に従う必要がある。
- マーケ/デザインチームに合わない。 Ganttがほぼ無く(2026年のRoadmapが部分的に補うが)、Calendarビューが弱い。非エンジニアには使いにくい。
- 5000人組織には未だ不足。 Permission モデルがシンプルなので、大組織のガバナンス要件を完全には満たさない。
いつLinearか。 エンジニアが半数以上の5–500人企業。2026年の「デフォルト選択」。
3章 · Jira(Atlassian)— エンタープライズ標準、そしてその重さ
Jiraは2002年にAtlassian(オーストラリア)が作ったPM道具。2026年現在AtlassianはARR 50億ドル超の会社で、Jiraはその売上のコア。Atlassian Cloudの顧客数は30万社を超えている。
なぜJiraが標準か。 約25年生き残り、その間にほぼ全てのワークフローをカスタマイズで吸収できるモデルを作った。Permission scheme、Workflow scheme、Field configuration、Screen scheme — この4つのschemeを組み合わせれば事実上どんなプロセスもモデリングできる。
エンタープライズではそれが命綱だ。ISO 27001監査、GDPRデータ主体権、SOX変更管理 — すべてJiraのworkflow + 監査ログで解ける。
2024–2026年の変化。
- Jira Server EoL(2024年2月15日)。 セルフホスティングオプションが消え、Cloud / Data Centerのみ残った。結果として多くのチームがクラウドへ強制移行。
- Atlassian Intelligence(2024)。 Jira・ConfluenceにAIをビルトイン。「イシュー要約」「スマートリンク」「rephrase」 — 2026年はClaude/GPT両方をバックエンドにする。
- Jira Product Discovery(GA 2022、2024–2026拡張)。 別SKU。アイデア収集とロードマップ — Productboardカテゴリーに参入。
- Compass(GA 2024)。 エンジニアリングカタログ/スコアカード。Backstageカテゴリー進入。
- Rovo(2024)。 Atlassianのエージェントプラットフォーム。Jiraイシューを横断するAIエージェント。
料金。 Free(10ユーザー)、Standard 16/user/month、Enterprise(年契約、価格非公開)。2026年の価格は2024年比で約15–20%値上げ。
Jiraが嫌われる理由。 ユーザーの不満は驚くほど一致している。
- 遅い。 Cloud移行後、ページのロードに1–3秒かかる。
- UIに一貫性がない。 ワークフロービルダー、Plan、Calendar、Roadmap — 画面ごとに違うデザイン言語を使う。
- イシュー作成が重い。 必須フィールドが多く、ショートカットが貧弱。Linearで0.5秒の動作が5秒かかる。
- モバイルアプリが弱い。 2026年でもなおデスクトップ優先。
いつJiraか。
- 500人以上のエンジニアリング組織、ワークフローコンプライアンスが必要 → Jira。
- 既にConfluence・Bitbucketを使っている → Jira。
- 「会社の標準を崩したくない」 → Jira。
- 小さなチーム(20人以下)で速いサイクル → Linear/Shortcut/Heightの方が合理的。
4章 · Asana — マーケ・エージェンシーのデフォルト
Asanaは2008年にDustin Moskovitz(Facebook共同創業者)とJustin Rosensteinが創業。2020年NYSE上場、2026年現在の時価総額は約40億ドル(2021年ピーク比で約1/3)。
Asanaのアイデンティティ。 Asanaは最初から「エンジニアの道具ではない」を明確にした。マーケキャンペーン、コンテンツカレンダー、イベント企画、デザインレビュー — 非エンジニアワークフローの標準を確立した。
コアモデルは Task → Project → Portfolio → Goal の4階層。そして各Taskが複数Projectに同時属することができる「multi-homing」がある。これがマーケ部署の「1つのキャンペーンカードがキャンペーンプロジェクト・Q3 OKR・コンテンツカレンダーすべてに入る必要がある」要件を掴んだ。
2024–2026年の変化。
- Asana Intelligence(2024)。 AI要約、自動ステータスレポート、自動優先度 — 2025–2026年に本格化。
- Goals → OKR統合。 AsanaのGoals機能が多くの会社でOKRワークフローのデフォルトに。
- AI Studio(2026)。 ユーザーが自分のワークフローに合わせてAIエージェントを作るビルダー。
料金。 Free(15ユーザー)、Starter 24.99/user/month、Enterprise非公開。2026年はAI機能がAdvanced/Enterprise中心。
弱点。
- エンジニアが使わない。 GitHub PR統合が弱く、キーボードショートカットもLinearほど速くない。
- 遅くなることがある。 大規模プロジェクト(1000+タスク)でページ読み込みが鈍る。
- 料金プレッシャー。 Starterも$10.99でLinearと近いが、コスパはチームによる。
いつAsanaか。
- マーケ / デザイン / 運営部署がコアユーザー → Asana。
- OKR / Goalsワークフローが重要 → AsanaのGoalsが強い。
- エンジニアリング比率が高い → Linear/Jiraが良い。
5章 · ClickUp — オールインワン、そしてその罠
ClickUpは2017年にZeb Evansが創業。2021年Series Cで評価額40億ドル、2024年以降キャッシュフローポジティブに転換。2026年現在ARR 4億ドル以上と推定。
ClickUpの約束。 「1つのアプリが全てを置き換える(One app to replace them all)」。スローガンそのまま。Task、Doc、Chat、Whiteboard、Goal、Form、Time Tracking、Sprints、Mind Map — ほぼ全ての隣接カテゴリーに機能がある。
なぜこれが魅力的か。 小さな会社がNotion + Asana + Loom + Miro + Toggl全部を契約すると、ユーザーあたり月10–19/user/monthで一つに束ねる。
機能リスト(2026年)。
- Task: List/Board/Calendar/Gantt/Timeline/Workload 7種類のビュー。
- Docs: Notion風ドキュメント。
- Whiteboard: Miro風ボード。
- Chat: Slack風チャット(2024年Chat 3.0リニューアル)。
- Forms: Typeform風フォーム。
- Goals: OKR。
- Sprints: スコアリング・burndown。
- Time Tracking: Toggl風時間追跡。
- Automations: トリガー・アクションビルダー。
- ClickUp Brain(2024): AI要約・ドキュメント生成・自動分類。
弱点。
- 画面に機能が多すぎる。 新規ユーザーにとって学習曲線が崖。
- UIディテールがLinearに及ばない。 綺麗さを求めるなら合わない。
- 遅い。 ワークスペースが大きくなると目に見えてロードが遅くなる(2024年ClickUp 3.0が大幅改善したが症状は残る)。
- 機能多いが各機能の深さが専用道具に劣る。 WhiteboardはMiroほどではなく、DocはNotionほどではなく、ChatはSlackほどではない。
いつClickUpか。
- 小さな会社(20人以下)でSaaSを束ねたい → ClickUp。
- 大きな会社 → カテゴリー別の専用道具が良い。
6章 · Height — AIネイティブPM、「ティケットはAIが書く」
Heightは2018年にFrançois Hoehlらがカナダで創業したPM道具。2020年GA、2024年シリーズA追加で1000万ドル調達。2026年現在「AIネイティブPM」という明確なポジションで生き残る。
Heightの差別化。 他のPM道具が「既存UX + AI後付け」であるのに対し、Height 2.0(2024年GA)は最初から「AIがPM作業をする」を前提に設計された。HeightのCopilotは以下を自動でやる。
- 自動トリアージ。 Slackメッセージ、GitHubイシューから自動で新規タスク生成。
- 自動バックログ整理。 重複検出、優先度推奨、スプリント候補推奨。
- 自動Standup。 毎日誰が何をやったかを要約してSlackに投稿。
- 自動PRリンク。 GitHub PRタイトルからタスクIDを自動マッピング。
なぜこれが意味あるか。 PM作業の70%は「ティケット整理、ステータス更新、重複発見、要約」。それを自動化するのがHeightの仮説。5人チームでPM役を別に置かずに運営できる。
料金。 Free(メンバー無制限、一部制限)、Standard 11/user/month(2026年5月時点)。Linearより少し安い。
弱点。
- 市場シェアが小さい。 Linear/Jiraと比べてエコシステムが薄い。
- エンタープライズ機能が弱い。 SSO/SCIMはあるが、監査ログなどのガバナンスがJiraほど深くない。
- AIに依存しすぎ。 AIが間違って分類した場合、ユーザーが手動修正するUXがスムーズではない。
いつHeightか。
- 5–50人チームでPMを別に置く負担を避けつつ整理は必要 → Height。
- AIファーストワークフローを実験したい → Height。
7章 · Shortcut(旧Clubhouse)— 開発者フレンドリーの正統派
Shortcutは2014年にKurt Schraderらが「Clubhouse」という名前で創業したPM道具。2021年9月にClubhouse Audio(ソーシャルオーディオアプリ)との名称衝突を避けるためShortcutへリブランド。2026年現在ARR 3000万〜5000万ドル推定。
Shortcutのアイデンティティ。 「Pivotal Trackerの精神を継ぐ」。Story → Iteration(2週サイクル)→ Epic → Milestoneの4階層モデル、story point + velocityがコア。Pivotal Trackerが2023年10月にシャットダウンした後、そのユーザーの相当数がShortcutへ移行した。
Linearとの差別化。 Linearが「デザイン + サイクル + Triage」なら、Shortcutは「ストーリー + Velocity + リポーティング」。Shortcutのburndown、cycle time chart、throughput chartなどagileメトリクスがLinearより深い。PMが「今四半期うちのチームのthroughputは?」と問うときShortcutの方が答えやすい。
2024–2026年の変化。
- Shortcut for Writers(2023)。 ドキュメント機能追加。Notion-lite。
- Shortcut AI(2024)。 Triage・要約・自動分類。
- Iterations 2.0(2025)。 サイクル自動carry-over、自動スコアリング。
料金。 Free(10ユーザー)、Team 12/user/month(2026年5月時点)。Linearとほぼ同じ価格帯。
弱点。
- デザインがLinearより一世代古い。 ただJiraよりはずっと綺麗。
- TriageがLinear/Heightほど強くない。
- 市場認知度が落ちた。 Linear登場以降、Shortcutのmindshareは縮小。
いつShortcutか。
- 元Pivotal Trackerユーザーが多いチーム → 自然な後継。
- agileメトリクス(velocity、throughput)を真剣に使うチーム → Linearより深い。
8章 · Notion Projects — Notion内で全部やる
Notionは2016年にIvan Zhaoらが創業したドキュメント/ノート道具として始まった。2024年5月にNotion Projectsが正式SKUとして分離され、PM道具カテゴリーに本格参入。2026年現在、Notion全体のARRは5億ドル超え、その中でProjects/Enterpriseの比率が急速に伸びている。
Notion Projectsの魅力。 シンプル — 「ドキュメントとティケットを一箇所に置く」。PRD、ティケット、会議メモが同じワークスペースにある。「イシューIDからPRDへ自動でback linkが張られる」がNotionの強み。
機能。
- Task DB: Table/Board/Calendar/Timeline/Galleryビュー。
- Sprintテンプレート: 自動sprint生成、carry-over。
- Notion AI: 自動要約、自動ステータス、自動分類。
- Notion Calendar(2024年Cron買収後にリブランド): カレンダーとtask統合。
- Notion Forms(GA 2024): Typeform-likeフォーム。
弱点。
- 速度。 Notionはまだページロードに1–2秒かかる。Linearの0.2秒とは比較にならない。
- agileワークフローが薄い。 Sprint・burndown・velocityなどメトリクスが弱い。
- 権限モデルが複雑。 ワークスペース/チームスペース/ページ/DB権限 — 大組織では混乱する。
- AI料金。 Notion AIはユーザーあたり月$10別途(2026年5月時点)。
いつNotion Projectsか。
- 既にNotionをドキュメントで使っているチーム → 自然にProjectsへ拡張。
- 「ドキュメントとティケットが共存すべき」が強い要件 → Notionが最も得意。
- 大規模エンジニアリングチーム、速いサイクル → Linear/Jiraが良い。
9章 · Monday.com — ビジュアルワークフローの頂点
Monday.comは2012年イスラエルで創業、2021年NASDAQ上場。2026年現在の時価総額は約120億ドル、ARR 12億ドル超。
Mondayのアイデンティティ。 「Work OS」という表現を使う。PMではなく「どんなワークフローでも作れるOS」。Boardsがコアモデルで、各rowがtask/customer/projectなど任意のエンティティになれる。
シグネチャーはビジュアル。 カラーカラム、ステータスインジケータ、ビジュアルダッシュボード — Asanaよりさらに派手。マーケ・セールス・HR部署が好む外観。
機能。
- Boards: 30+カラムタイプ。
- Views: Table/Kanban/Calendar/Timeline/Gantt/Map/Chart。
- Automations: 250+ビルトイントリガー・アクション。
- Integrations: 200+外部アプリ。
- Monday WorkForms: フォーム。
- Monday Dev(GA 2023): 開発者ワークフロー専用の別製品。Linear/Jiraと競合。
- Monday CRM、Monday Service: PMからCRM・ヘルプデスクへ領域拡張。
- Monday AI(2024): 自動要約、作文補助。
料金。 Basic 12/user/month、Pro $19/user/month、Enterprise非公開。3-seat minimumがあり1–2人チームは合わない。
弱点。
- 3 seat minimum。 1–2人チームは使えない。
- エンジニアが好まない。 UIが派手でキーボードユーザーには重い。
- イシュートラッカーよりはワークマネジメント寄り。 Monday Devがあるが、Linear/Jira対比でmindshareが薄い。
いつMondayか。
- マーケ・セールス・HRがコアユーザー → Monday。
- ビジュアルダッシュボードが重要 → Monday。
- エンジニアリングチーム → 別の道具を選ぶ。
10章 · Basecamp 4(37signals)— ミニマリストの一本道
Basecampは1999年に37signals(現37signals)が作った。2026年現在はBasecamp 4(2022年リリース、Personal / Pro 2 SKU)。37signalsは売上/利益を公開していないが、「黒字 + 無借入 + 70人」をいつも自慢している。
Basecampの哲学。 「プロジェクト道具はシンプルであるべき」。DHH(David Heinemeier Hansson)とJason Friedが運営する会社らしく、「feature creepを拒否する」が明示的なポリシー。だからBasecampは25年間ほぼ同じモデルを維持している。
モデル。
- Project = 1つのフォルダ。
- その中に6つの道具: Message board, To-do list, Schedule, Docs & files, Group chat (Campfire), Automatic check-ins。
それだけだ。Ganttはない。Sprintはない。Workflowはない。キーボードショートカットもほぼない。
料金。 Basecamp Pro Unlimited $349/month(ユーザー無制限、プロジェクト無制限)。Per-user価格ではなくflat価格なので、50人企業から損益分岐点になる。
なぜ使うのか。
- シンプルさ。 「道具を学ぶ時間を使わない」。
- flat pricing。 50人以上ならユーザーあたり$7未満。
- 外部クライアントとの協業が楽。 クライアント側ユーザーは無料。
弱点。
- agileワークフロー無し。 Sprint・velocity・burndownすべて無い。
- エンジニアが選ばない。 GitHub統合が薄い。
- cadenceが遅い。 月単位サイクルには合うが2週sprintには合わない。
いつBasecampか。
- エージェンシー・コンサル(外部クライアント協業が多い) → Basecamp。
- 50人以上の非エンジニアリング企業 → flat pricingが魅力。
- 速いエンジニアリングサイクル → 別の道具を選ぶ。
11章 · Trello(Atlassian)— カンバンの元祖、そしてその限界
Trelloは2011年にFog Creek Software(現Glitch)が作った。2017年にAtlassianが4億2500万ドルで買収。2026年現在5000万ユーザー超を宣伝するが、実際のアクティブ有料ユーザーはその一部。
Trelloのアイデンティティ。 「カンバンそのもの」。Board · List · Cardの3階層のみ。学習曲線がほぼゼロ。
なぜ生き残ったか。
- 無料プランが強い。 Freeでユーザー/ボード/カード無制限。
- 個人用で人気。 「自分のTo-doリスト」として使う人が多い。
- Power-Up。 外部アプリ統合で機能拡張。
弱点。
- スケーラビリティ。 50カードを超えるとボードが整理できない。
- List以上のモデルが無い。 クロスボード reporting、milestone、dependencyすべて弱い。
- Atlassianが育てない。 Jiraにリソースが集中、Trelloは停滞。
いつTrelloか。
- 個人 / 家族用途 → Trello。
- 5人以下の小さなチームの単純ワークフロー → Trello。
- それ以上 → Linear/Asana/Jiraへ卒業。
12章 · Plane — オープンソースのLinear代替
Planeは2023年にインド/SF系チームが作ったOSSのPM道具。AGPL-3ライセンス、GitHubスター3万5000超(2026年5月時点)。2024年シリーズA(700万ドル、Veridian Capitalほか)。
Planeのポジショニング。 「オープンソースLinear」。デザインとモデルが意図的にLinearに寄せている。Issue · Cycle · Module(LinearのProject相当)· Viewの4階層。
セルフホスティング。 PlaneはDocker compose 1行で立てられる。データが自分のサーバーに残り、AGPLライセンスなのでコード修正も可能。
機能。
- Issue/Cycle/Module/View。
- Pages: Notion風ドキュメント。
- Workflows: トリガー・アクションビルダー。
- Plane AI(2025): 自動分類、要約。
- API(REST)、Webhook。
料金。 OSSは無料。Plane CloudはFree / Pro(799一回ライセンス、セルフホスト用)。
弱点。
- エコシステムが薄い。 統合アプリ数はLinearの1/10程度。
- UIディテールがLinearに及ばない。 似ているが微妙に劣る。
- 会社が小さい。 長期的な持続性に賭ける必要がある。
いつPlaneか。
- セルフホスティングが要件(GDPR、HIPAA、政府) → Plane。
- 「Linear風UXだがOSSであるべき」 → Plane。
- エコシステムの深さが重要 → Linear。
13章 · Productboard / Aha! / Pendo Roadmaps — 製品ディスカバリ道具
イシュートラッカーとは異なるカテゴリー。PMが「次に何の機能を作るか」を決めるための道具。普通はイシュートラッカー(Jira/Linear)と併用する。
Productboard(2014年創業、チェコ/SF、2022年Sequoiaらシリーズ D 1億2500万ドル、評価額17億ドル)。 最も知られたディスカバリ道具。顧客フィードバック → 機能優先度 → ロードマップのワークフローを標準化した。2025年ARR 1億ドル+推定。
Aha!(2013年創業、米国、bootstrappedとして知られる黒字会社)。 Productboard以前のディスカバリ道具。より重く、エンタープライズ寄り。「Strategy → Initiative → Release → Feature」の4階層モデル。
Pendo Roadmaps(Pendoのモジュール、2021年Mind the Product買収後に統合)。 Pendoのproduct analyticsと統合されたロードマップ道具。「ユーザーが実際にどの機能を使うか」のデータを横に置いてロードマップを作る。
Jira Product Discovery(GA 2022)。 AtlassianがProductboardカテゴリーへ参入。Jiraと同じワークスペース、別SKU。2026年料金は最初の3ユーザー無料、それ以上 $10/user/month。
いつディスカバリ道具が必要か。
- PM 3人以上、四半期当たり50+機能候補を扱う → ディスカバリ道具。
- 顧客フィードバックを体系的に集めるべき → Productboard。
- 既にJiraを使っている → Jira Product Discoveryが自然。
- PM 1人、候補10個未満 → そのままNotion/Linearで処理。
14章 · GitHub Projects v2 / GitLab Issues — コード隣接PM
エンジニアの立場から「PRの隣にあるイシュートラッカー」が最も近いオプション。GitHub Projects v2(GA 2022)、GitLab Issues(2011年以降継続進化)。
GitHub Projects v2。 GitHub Projectsの2022年リニューアル。コアは「イシューとPRをそのままボード/テーブル/ロードマップビューに引っ張ってくる」。v1が単純カンバンだったのに対し、v2は本格的なPM道具の試み。
機能:
- Table/Board/Roadmapビュー。
- カスタムフィールド(テキスト/単一選択/複数選択/日付/数値)。
- Workflow automation(イシュークローズ時にカラム移動など)。
- Insights(チャート、burndown)。
- GitHub Actionsとの統合。
なぜ魅力的か。
- 無料(パブリックrepo)。 OSSプロジェクトのPM道具のほぼデフォルト。
- GitHubと同じ画面。 PR/Issue/Discussion/Projectが同じワークスペース。
- 別道具の学習不要。 エンジニアは既にGitHubを使っている。
弱点。
- PMの深さが浅い。 Sprint・velocity・burndownが弱い。
- 非エンジニアが使えない。 GitHubアカウントが必要、UXがエンジニア中心。
- 大組織のガバナンスが弱い。 Jiraのworkflow schemeに相当するものが無い。
GitLab Issues。 GitLabは最初から統合DevOpsを標榜し、Issuesはその中にビルトイン。Epic、Iteration、Milestone、Boards — 単一画面で全部できる。GitLab Self-Managedを使う会社(セルフホスティング強制)ではこれがPM道具のデフォルト。
いつコード隣接PMか。
- OSSプロジェクト → GitHub Projects v2。
- エンジニアだけの5–20人チーム → GitHub Projects v2またはGitLab Issuesで十分。
- 100人超のチーム、非エンジニアを含む → Linear/Jiraへ。
15章 · 韓国 — Jandi、LINE WORKS、Collabee、NHN Dooray!
韓国市場はそれ自体で生きている。SaaSコンプライアンス(データ国内保存)要件と韓国語UX、そして決裁/勤怠といった韓国独自のワークフローのため、グローバル道具100%では回らない。
Jandi(잔디、TossLab、2014年創業)。 韓国メッセンジャー + 軽い協業。Slack + 少しのtask。PM道具というよりメッセンジャーfirstだが、メッセンジャーからそのままタスクを作り追跡するワークフローが韓国中小企業にフィット。2026年現在30万+チーム使用と宣伝。
LINE WORKS(라인웍스、NAVER)。 LINEのビジネス版。メッセンジャー + メール + カレンダー + Drive + フォーム/調査 + ワークフロー(決裁)。日本/台湾/韓国市場が中心。PM自体は軽いが決裁/勤怠ワークフローが深い。
Collabee(콜라비、Collabee Team)。 韓国製協業道具。「会議メモ + タスク」結合がシグネチャー。会議ノートから直接タスクが生成され、担当者と締切がリンクされる。会議文化が強い韓国中堅企業にフィット。
NHN Dooray!(NHN Cloud)。 NHN(旧NAVER系列)の協業道具。メール・メッセンジャー・カレンダー・プロジェクト・Drive統合。公共/金融分野でクラウドコンプライアンスを満たせるオプションとして定着。
Kakao Work(카카오워크)。 Kakaoのビジネス協業道具。KakaoTalk UXの親しみを武器に韓国中小企業に浸透。PM自体は軽い。
TmaxSoftその他韓国系PM道具。 SI/公共市場で活動するがグローバル認知は低い。
いつ韓国道具か。
- 韓国公共・金融・国防 → データ国内保存要件のため韓国道具。
- 決裁/勤怠ワークフローが重要 → LINE WORKS / Dooray。
- 韓国語UX優先 + 本社が韓国 → 韓国道具が自然。
16章 · 日本 — Backlog(Nulab)、Cybozu、Sansan、Garoon
日本市場も自前の道具が生き残る。韓国と似た理由 — コンプライアンス、言語、そして「ハンコ文化」がデジタル化されるにつれ独自ワークフローを持つ道具が必要だった。
Backlog(Nulab、2005年福岡創業)。 日本のPM道具のデフォルト。イシュートラッカー + Wiki + Git/SVNホスティングの束。日本のSI/Webエージェンシーでほぼ標準。2026年現在1万5000+社使用と宣伝。Cacoo(ダイアグラム)、Typetalk(チャット)と一緒にNulabスイートとして束ねられる。
Cybozu — kintone、Cybozu Office、Garoon。 Cybozuは1997年創業の日本会社。東証上場で時価総額1兆円超とされる日本協業道具の巨人。3つのプロダクト。
- kintone。 No-code業務アプリビルダー。フォーム・DB・ワークフローをクリックで作る。日本以外に米国・中国へ進出中。
- Cybozu Office。 中小企業向けグループウェア。掲示板・カレンダー・書類管理。
- Garoon。 中大企業向けグループウェア。Cybozu Officeのエンタープライズ版。
Sansan。 名刺管理から出発し、営業管理/CRMへ拡張した日本会社。2019年上場。PM自体ではなく営業/顧客管理領域だが、「プロジェクト別顧客追跡」ワークフローでPM道具と重なる。
freee。 会計SaaSの強者だが、freeeプロジェクト(プロジェクト別会計/予算)のようなモジュールでPM領域に一部参入。
SmartHR。 HR SaaS。直接的PMではないが、採用/オンボーディングワークフローがPM道具と重なる。
いつ日本道具か。
- 日本SI/Webエージェンシー → Backlogがほぼ標準。
- 日本中小企業の「決裁 + 掲示板 + カレンダー」グループウェア → Cybozu OfficeまたはGaroon。
- 日本本社、データ国内保存が必要 → Cybozu / Backlog。
17章 · 誰が何を選ぶべきか — 2026年ガイド
長い記事だったので、最後の1ページで圧縮する。
| シナリオ | 第1選択 | 代替 |
|---|---|---|
| エンジニア5–50人、速いサイクル | Linear | Shortcut、Height |
| エンジニア50–500人、ワークフローコンプラ | Jira | Linear Enterprise |
| エンジニア500+人、厳格ガバナンス | Jira | (事実上代替なし) |
| マーケ/デザイン/運営がコア | Asana | Monday.com、ClickUp |
| ビジュアルダッシュボードが重要 | Monday.com | Asana |
| 小さな会社(5–20人)、オールインワン | ClickUp | Notion Projects |
| ドキュメントとティケット併存 | Notion Projects | Coda、ClickUp |
| エージェンシー、flat pricing | Basecamp 4 | (事実上代替なし) |
| 個人 / 家族 / 5人未満 | Trello | Notion無料 |
| セルフホスティング必須 | Plane(OSS) | GitLab Issues、Jira Data Center |
| AIネイティブワークフロー実験 | Height | Linear AI、Notion AI |
| OSSプロジェクト | GitHub Projects v2 | GitLab Issues |
| 元Pivotal Tracker | Shortcut | Linear |
| 製品ディスカバリ / ロードマップ | Productboard | Aha!、Jira Product Discovery |
| 韓国公共/金融、データ国内保存 | Dooray!、LINE WORKS | Jira Data Center |
| 日本SI/Webエージェンシー | Backlog(Nulab) | Cybozu kintone |
| 日本中大企業グループウェア | Cybozu Garoon | NECなど日本ベンダー |
この表は「正解」ではなく出発点。実際の決定はチームサイズ、既存道具、コンプライアンス、価格 — 4つの変数の組み合わせで決まる。
2026年メタトレンド3行。
- Linearが標準になりつつある。 5–500人エンジニアリングチームでは「Linear以外を選ぶならその理由を説明しなければならない」になった。
- Jiraは去らない。 500+エンタープライズでは移行コストが大きすぎて代替不可能。
- AIがPMの70%作業を自動化中。 Height・Linear AI・Notion AI・Atlassian Intelligence — どの道具を選んでもAIが入口にある。
道具を選ぶのは一度だが、運営するのは毎日。派手なデモに騙されず、最初の2週間のオンボーディングがスムーズな道具を選べ。
参考 / References
- Linear — https://linear.app/
- Linear Series C 2024(12.5億ドル評価額) — https://linear.app/blog/series-c
- Linear Pricing — https://linear.app/pricing
- Jira(Atlassian) — https://www.atlassian.com/software/jira
- Jira Pricing — https://www.atlassian.com/software/jira/pricing
- Atlassian Intelligence — https://www.atlassian.com/platform/atlassian-intelligence
- Jira Product Discovery — https://www.atlassian.com/software/jira/product-discovery
- Atlassian Server EoL(2024年2月15日) — https://www.atlassian.com/migration/assess/journey-to-cloud
- Asana — https://asana.com/
- Asana Pricing — https://asana.com/pricing
- ClickUp — https://clickup.com/
- ClickUp Pricing — https://clickup.com/pricing
- ClickUp Brain — https://clickup.com/ai
- Height — https://height.app/
- Shortcut — https://www.shortcut.com/
- Shortcut Clubhouseリブランド(2021) — https://www.shortcut.com/blog/clubhouse-is-now-shortcut
- Pivotal Trackerシャットダウン(2023年10月) — https://content.pivotal.io/blog/farewell-pivotal-tracker
- Notion Projects — https://www.notion.so/product/projects
- Notion Calendar — https://www.notion.so/product/calendar
- Monday.com — https://monday.com/
- Monday.com Pricing — https://monday.com/pricing
- Monday Dev — https://monday.com/dev
- Basecamp 4(37signals) — https://basecamp.com/
- Basecamp Pricing — https://basecamp.com/pricing
- Trello(Atlassian) — https://trello.com/
- Plane — https://plane.so/
- Plane GitHub — https://github.com/makeplane/plane
- Productboard — https://www.productboard.com/
- Aha! — https://www.aha.io/
- Pendo Roadmaps — https://www.pendo.io/products/roadmaps/
- GitHub Projects v2 — https://github.com/features/issues
- GitLab Issues — https://about.gitlab.com/topics/agile-delivery/
- Jandi(잔디、TossLab) — https://www.jandi.com/
- LINE WORKS — https://line.worksmobile.com/jp/
- Collabee — https://www.collab.ee/
- NHN Dooray! — https://dooray.com/
- Kakao Work — https://www.kakaowork.com/
- Backlog(Nulab) — https://backlog.com/
- Nulab — https://nulab.com/
- Cybozu kintone — https://www.kintone.com/
- Cybozu Garoon — https://garoon.cybozu.com/
- Sansan — https://jp.sansan.com/
- SmartHR — https://smarthr.jp/
- freee — https://www.freee.co.jp/
- Microsoft Project — https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365/project/project-management-software
- Smartsheet — https://www.smartsheet.com/
- Coda — https://coda.io/
- Airtable — https://www.airtable.com/
- Wrike — https://www.wrike.com/