はじめに
JLPT N3 の文法は出題範囲が比較的はっきりしています。N4 までの基礎の上に、**推量・伝聞・受身・使役・条件・敬語・接続表現**といった意味グループごとの核となるパターンが加わる構造です。そのため、文法をやみくもに順番で覚えるより、**意味が近いものをまとめて違いを理解する**ほうが効率的です。
この記事は N3 の核となる文法 約40個を意味グループ別に表にまとめ、学習者がよく混同する文法を組にして比較し、文法問題の解き方のコツと実戦形式の4択練習問題15問(正答・解説付き)を提供します。韓国語を母語とする学習者がよく間違える点も合わせて取り上げます。
各表の「接続形」は、前にどの活用形が来るかを示します。動詞の辞書形、ます形(ます を取った語幹)、て形、普通形(動詞・形容詞・名詞のくだけた形)などの用語を使います。
推量・様態の表現
何かを断定せず推量したり、見て感じた印象を述べたりする表現です。N3 で最も紛らわしいグループです。
| 文法 | 接続形 | 意味 | 例文 |
| --- | --- | --- | --- |
| ~そうだ (様態) | ます形 / 形容詞語幹 | ~しそうだ(目の前の印象) | 雨が降りそうだ |
| ~ようだ | 普通形 / 名詞+の | ~のようだ(根拠ある推量) | 誰か来たようだ |
| ~みたいだ | 普通形 / 名詞 | ~みたいだ(ようだ の口語) | 風邪みたいだ |
| ~らしい | 普通形 / 名詞 | ~らしい(伝え聞いた根拠) | 試験は中止らしい |
| ~はずだ | 普通形 | 当然~のはずだ(論理的確信) | 彼は来るはずだ |
| ~かもしれない | 普通形 | ~かもしれない(低い可能性) | 遅れるかもしれない |
| ~にちがいない | 普通形 | きっと~にちがいない | 彼が犯人にちがいない |
伝聞・引用の表現
人から聞いた内容や情報の出所を伝える表現です。
| 文法 | 接続形 | 意味 | 例文 |
| --- | --- | --- | --- |
| ~そうだ (伝聞) | 普通形 | ~だそうだ(伝え聞く) | 雨が降るそうだ |
| ~という | 普通形 | ~という | 田中という人 |
| ~とのことだ | 普通形 | ~とのことだ(改まった伝聞) | 来月出張するとのことだ |
| ~によると | 名詞 | ~によると(情報源) | 天気予報によると |
> 韓国語を母語とする学習者が最も混同するのが、様態の ~そうだ と伝聞の ~そうだ です。接続形が異なります。様態は ます形(降りそうだ)、伝聞は普通形(降るそうだ)に付きます。
受身・使役・使役受身
主語と動作の関係を変える核となる文法です。韓国語に対応表現がありますが、形の変化が難しいです。
| 文法 | 形 | 意味 | 例文 |
| --- | --- | --- | --- |
| 受身 | 動詞+れる/られる | ~される | 先生に褒められた |
| 使役 | 動詞+せる/させる | ~させる | 子供に野菜を食べさせる |
| 使役受身 | 動詞+せられる/させられる | (いやいや)~させられる | 残業させられた |
| ~てもらう | て形 | (人に)~してもらう | 友達に手伝ってもらった |
| ~てくれる | て形 | (人が私に)~してくれる | 母が作ってくれた |
| ~てあげる | て形 | (私が人に)~してあげる | 妹に教えてあげた |
条件の表現
「~すれば」にあたる四つの条件表現は N3 の常連の出題ポイントです。
| 文法 | 接続形 | ニュアンス | 例文 |
| --- | --- | --- | --- |
| ~と | 辞書形 | 自然・必然の結果、反復 | ボタンを押すと開く |
| ~ば | 仮定形 | 一般条件、仮定 | 安ければ買う |
| ~たら | た形+ら | 個別・具体的な仮定、口語 | 着いたら電話して |
| ~なら | 普通形 / 名詞 | 相手の発話を受けて(~なら) | 日本へ行くなら京都がいい |
時間・きっかけ・程度の表現
| 文法 | 接続形 | 意味 | 例文 |
| --- | --- | --- | --- |
| ~ところだ | 辞書/ている/た | ~するところ/しているところ/したところ | 今出かけるところだ |
| ~たばかり | た形 | ~したばかり | 始めたばかりだ |
| ~間に | 普通形 / 名詞+の | ~する間に | 寝ている間に |
| ~うちに | 普通形 / 名詞+の | ~うちに(変化する前に) | 熱いうちに食べて |
| ~たびに | 辞書形 / 名詞+の | ~するたびに | 会うたびに |
| ~ほど | 普通形 / 名詞 | ~するほど / ~ほど | 見るほど好きになる |
目的・理由・逆接の接続表現
| 文法 | 接続形 | 意味 | 例文 |
| --- | --- | --- | --- |
| ~ために | 辞書形 / 名詞+の | ~するために(目的) | 合格するために勉強する |
| ~ように | 辞書/ない形 | ~するように(目標・願い) | 忘れないようにメモする |
| ~おかげで | 普通形 / 名詞+の | ~おかげで(よい結果) | 君のおかげで助かった |
| ~せいで | 普通形 / 名詞+の | ~せいで(悪い結果) | 雨のせいで中止 |
| ~のに | 普通形 | ~のに(逆接・不満) | 約束したのに来ない |
| ~くせに | 普通形 | ~くせに(非難) | 知っているくせに |
| ~ながら | ます形 | ~しながら(同時) | 音楽を聞きながら |
敬語(尊敬語・謙譲語)
N3 では基本的な尊敬語・謙譲語が出ます。韓国語にも敬語があり概念は身近ですが、日本語は**相手を高める尊敬語**と**自分を下げる謙譲語**を動詞ごとに覚える必要があります。
| 普通形 | 尊敬語 | 謙譲語 |
| --- | --- | --- |
| する | なさる | いたす |
| 行く・来る | いらっしゃる | まいる |
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる |
| 食べる・飲む | 召し上がる | いただく |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| いる | いらっしゃる | おる |
規則的な形には、尊敬語「お+ます形+になる」、謙譲語「お+ます形+する」があります。例:お持ちになる(尊敬)、お持ちする(謙譲)。
その他の頻出文法
上のグループ以外にも、N3 でよく出る文法があります。限定・強調・評価・状態などを表します。
| 文法 | 接続形 | 意味 | 例文 |
| --- | --- | --- | --- |
| ~だけでなく | 名詞 / 普通形 | ~だけでなく | 日本語だけでなく英語も |
| ~ばかりでなく | 名詞 / 普通形 | ~ばかりでなく(強調) | 勉強ばかりでなく運動も |
| ~に対して | 名詞 | ~に対して(対象) | 質問に対して答える |
| ~について | 名詞 | ~について(話題) | 歴史について学ぶ |
| ~にとって | 名詞 | ~にとって | 私にとって大切だ |
| ~として | 名詞 | ~として(資格・立場) | 教師として働く |
| ~によって | 名詞 | ~によって | 人によって違う |
| ~み | い形容詞語幹 | ~み(名詞化) | 楽しみ・痛み |
| ~さ | 形容詞語幹 | ~さ(名詞化) | 高さ・大きさ |
名詞化の接尾辞「~み」と「~さ」の違いも N3 で問われます。「~さ」は客観的な程度・数値(高さ)を、「~み」は主観的な感覚・感じ(温かみ)を表す傾向があります。
状態・結果の ~ている / ~てある
| 表現 | 意味 | 例 |
| --- | --- | --- |
| ~ている (状態) | 動作後の状態が継続 | 窓が開いている |
| ~てある | 意図的に~しておいた状態 | 窓が開けてある |
自動詞+ている は単なる状態を、他動詞+てある は誰かが意図的にしておいた結果を表します。韓国語ではどちらも「~ている」に近く訳され、混同しやすいです。
紛らわしい文法の比較
似て見える文法の違いを明確に区別すると、4択で誤答を減らせます。
~ばかり vs ~たところ
どちらも「~したばかり」と訳されますが、焦点が異なります。
| 表現 | 焦点 | 例 |
| --- | --- | --- |
| ~たばかり | 話し手の「あまり経っていない」気持ち(時間の経過と無関係) | 入社したばかりで分からない |
| ~たところ | 動作が終わった直後の時点(客観的な直後) | 今着いたところだ |
「先月始めたばかり」は自然ですが、「先月始めたところ」は不自然です。~たところ は終わった直後にだけ使います。
~わけ / ~はず / ~べき
当為・論理・結論を表す三つの表現です。
| 表現 | 意味 | 例 |
| --- | --- | --- |
| ~はずだ | 論理的に当然~のはず(推量) | 連絡したから知っているはずだ |
| ~わけだ | だから~なわけだ(理由の納得) | 道理で寒いわけだ |
| ~べきだ | 当然~すべき(当為・義務) | 約束は守るべきだ |
~ように vs ~ために
どちらも「~するために」と訳されますが、決定的な違いがあります。
| 表現 | 動詞の種類 | 主語の一致 | 例 |
| --- | --- | --- | --- |
| ~ために | 意志動詞 | 前後の主語が同じ | 留学するために貯金する |
| ~ように | 無意志・可能・否定動詞 | 主語が違ってもよい | 子供が読めるように書く |
目標が自分の意志で成すことなら ~ために、自然にそうなることを願うこと(可能・否定・無意志)なら ~ように を使います。
~と / ~ば / ~たら / ~なら
条件の四兄弟は N3 最頻出です。
条件表現の選び方
自然・必然の結果? ──はい──▶ ~と (押すと開く)
│ いいえ
▼
一般・仮定の条件? ──はい──▶ ~ば (安ければ買う)
│ いいえ
▼
個別・具体的な仮定? ─はい──▶ ~たら (着いたら電話)
│ いいえ
▼
相手の発話を受ける? ─はい──▶ ~なら (行くなら京都)
文法問題の解き方のコツ
N3 の文法問題は**接続形と意味**という二つの軸で解けます。
| コツ | 説明 |
| --- | --- |
| 接続形をまず確認 | 前の語の活用形で半分の誤答を消去(様態 vs 伝聞 そうだ) |
| 意味グループで絞る | 推量・伝聞・逆接などのグループを思い浮かべ候補を圧縮 |
| 文末表現との呼応 | ~かもしれない などは文末の語調とかみ合う |
| 否定・二重否定に注意 | ~ないわけにはいかない(しないわけにいかない=すべき) |
| 文脈の肯定/否定の手がかり | おかげで(肯定) vs せいで(否定)を区別 |
文の組み立て(並べ替え)問題は**文末から逆に**組み立てましょう。助詞(が・を・に・は)がどの語句と組むかが鍵となる手がかりです。
練習問題15問
実戦形式の4択です。空欄(__)に最も合うものを選んでください。正答と解説は下にあります。
1. 空が暗くなってきた。雨が降り__。
1) そうだ 2) らしい 3) はずだ 4) わけだ
2. 天気予報__、明日は晴れるそうだ。
1) によると 2) について 3) にとって 4) に対して
3. 子供のころ、母に毎日ピアノを練習__。
1) させた 2) させられた 3) してもらった 4) してあげた
4. このボタンを押す__、電気がつきます。
1) なら 2) たら 3) と 4) ば
5. 日本へ行く__、京都がおすすめです。
1) と 2) ば 3) なら 4) ても
6. 彼はまだ来ない。電話したから、来る__なのに。
1) わけ 2) はず 3) べき 4) ところ
7. 約束した__、彼は来なかった。
1) ので 2) のに 3) ために 4) ように
8. 熱い__、早く食べてください。
1) うちに 2) ところに 3) ばかりに 4) たびに
9. 子供でも読める__、ひらがなで書いた。
1) ために 2) ように 3) ことに 4) ものに
10. 渋滞の__、会議に遅れてしまった。
1) おかげで 2) せいで 3) ように 4) ながら
11. この仕事を始めた__なので、まだ慣れていません。
1) ところ 2) ばかり 3) うち 4) まま
12. 先生が「明日は休みだ」__。
1) とおっしゃった 2) と申した 3) と拝見した 4) といたした
13. 約束は必ず守る__だ。
1) はず 2) べき 3) わけ 4) よう
14. 残業を__、とても疲れた。
1) させて 2) させられて 3) してもらって 4) してあげて
15. お客様、こちらの資料を__ください。
1) 拝見して 2) ご覧になって 3) 申して 4) いたして
正答と解説
| 番号 | 正答 | 解説 |
| --- | --- | --- |
| 1 | 1) そうだ | 空を見て感じた印象 → 様態 そうだ。ます形 降り に接続 |
| 2 | 1) によると | 情報源を示す「~によると」 |
| 3 | 2) させられた | いやいや練習させられた → 使役受身 |
| 4 | 3) と | ボタンを押すと自然・必然的につく → ~と |
| 5 | 3) なら | 相手(話題)の「日本へ行く」を受けて助言 → ~なら |
| 6 | 2) はず | 連絡したので論理的に当然来る → ~はず |
| 7 | 2) のに | 約束したのに来ない → 逆接・不満 ~のに |
| 8 | 1) うちに | 熱い状態が変わる前に → ~うちに |
| 9 | 2) ように | 読める(可能)は無意志 → ~ように |
| 10 | 2) せいで | 否定的結果(遅刻)の原因 → ~せいで |
| 11 | 2) ばかり | 始めて間もない(気持ちの強調) → ~たばかり |
| 12 | 1) とおっしゃった | 先生(高める対象)の発話 → 尊敬語 おっしゃる |
| 13 | 2) べき | 当然守るべき(当為) → ~べき |
| 14 | 2) させられて | いやいや残業させられた → 使役受身 |
| 15 | 2) ご覧になって | お客様が見る動作を高める → 尊敬語 ご覧になる |
13問以上正解なら N3 文法の土台はしっかりしているほうです。間違えた問題は上の表で該当グループを再確認しましょう。
おわりに
N3 文法の核心は**意味が近いパターンの違いを正確に区別すること**です。様態と伝聞の そうだ、条件の四兄弟、~ように と ~ために のように、韓国語では同じ意味でも日本語では接続形や使い方が異なる組を意識的に比較しましょう。
文法は語彙とともに読解・聴解の基礎になるので、ここでまとめたパターンを [N3 科目別の試験戦略](/blog/japanese/2026-06-28-jlpt-n3-exam-strategy-complete) と [読解・聴解の高得点戦略](/blog/japanese/2026-06-28-jlpt-n3-reading-listening-tips) で扱う実戦運用と結びつけてみてください。
参考資料
- [JLPT 公式サイト](https://www.jlpt.jp/)
- [JLPT N3 レベル概要](https://www.jlpt.jp/about/levelsummary.html)
- [JLPT 問題例](https://www.jlpt.jp/samples/sampleindex.html)
- [JLPT の目標と認定](https://www.jlpt.jp/about/index.html)
현재 단락 (1/176)
JLPT N3 の文法は出題範囲が比較的はっきりしています。N4 までの基礎の上に、**推量・伝聞・受身・使役・条件・敬語・接続表現**といった意味グループごとの核となるパターンが加わる構造です。その...